消費税10%対応の考え方③「介護報酬への上乗せ」 ~ 平成31年度の介護報酬改定(2019年10月実施)③
火曜日は、介護事業の介護報酬の改定事項をご紹介しています。
消費税10%への引き上げ時における介護保険サービスの取扱いが介護給付費分科会において、議論されています
前回8%引き上げの時の対応を参考に検討が進んでいます。
たとえば、介護給付費分会で次のような意見が出されています。
介護報酬の上乗せ対応について
■委託費等課税費用のデータの中には、人材派遣に係る費用が含まれていますが、この費用は年々上昇傾向にあり、こういった状況を把握し、報酬に反映すべきです。
■送迎サービスの提供を委託している場合が少なくなく、また、通所サービスで使用する備品等は事業所の持ち出しのものが多い。これらに対応するためにも、報酬の上乗せ等を適切に行って欲しい。
■介護ロボットやセンサー等の事務負担軽減のためのICT活用が進むことに伴い、購入費用が増加するとともに、課税割合も大きくなるのではないでしょうか。
■特養の入所者の重度化が進んでいる中で、介護用品購入数が増加し、増税の影響が大きくなってきます。
■通所リハビリテーションに期待が高まっているものの、新規開設や事業所の増改築に係る負担は大きく、消費税対応が必要ではないでしょうか。
■8%引上げ時における消費税負担については、平成26年度介護報酬改定により、おおむね担保されているのではないでしょうか。
■介護事業経営実態調査の結果を用いて把握・検討するに当たり、データについては、外れ値処理を行うなど、できる限り精緻なものとなるよう配慮をお願いしたい。
■8%引上げ後、介護報酬改定による基本報酬の見直しもあったところです。サービスによっては変動が大きいため、不平等が生じないようきめ細かな対応を行うべきです。
基準費用額の対応について
■食費、居住費について、給食委託費の高騰や施設設備等に関する建築費の上昇分等を踏まえて引き上げる必要があるのではないでしょうか。
■食費については現状において、既に基準費用額を上回っており、調理員人件費も上がり、委託業者が撤退する状況もあると聞いています。
可能であれば、施設種別毎の食費を出した上で、検討すべきではないでしょうか。
■10%引上げ時においては、飲食料品等は軽減税率が適用されるところです。食費について議論する際はこの点について考慮した上で対応を検討すべきではないでしょうか。
■サービス創設から20~30年経過し、多くが建て替えを行う時期であり、負担が大きくなるという状況も考慮して欲しい。中長期的な課題としては、現行の基準費用額の設定の考え方が適切かどうかも検討する必要があります。
具体的には建物の保守や修繕、維持費用にも消費税がかかっており、このことも踏まえ検討できるようして欲しいです。
区分支給限度基準額について
各サービス事業所等における課税品目について、実態にあわせて適切に介護サービス費に反映させるとともに、区分支給限度基準額の見直しが必要ではないでしょうか。
福祉用具貸与・その他
■福祉用具貸与の上限額設定が新たに行われたが、設定に当たっては8%時点の調査ではなく、10%引上げが反映できるようして欲しい。
■高額投資等については、医療保険と足並みをそろえて対応すべきです。
■8%引上げの議論時と比較し、社会的要因の変化があれば示して欲しい。
(出所:第160~163回介護給付費分科会での意見)
こうした中で「介護報酬による上乗せ」が重要な論点です
上乗せの基本的な考え方は次のとおりです
医療保険における対応との整合性も踏まえる必要はあるが、8%引上げ時における対応を参考に、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算についても、上乗せを検討する。
①基本単位数への上乗せ
人件費その他の非課税品目を除いた課税経費(介護用品費、委託費等)の割合について、平成29年度介護事業経営実態調査の結果を用いて把握し、これに税率引上げ分(110/108-1)を乗じて基本単位上乗せ率を算出する。
つまり、消費税が課税されている割合を抽出して、それに今回の消費税引き上げ割合を乗じて算出しようとします。次の算式になります。
前回の8%引き上げ時と同じ考え方です。
②加算の取扱いについて
具体的には、課税費用の割合が大きいと考えられる加算※については、課税費用に係る上乗せを行うこととし、その他の加算については、個々の加算単位数への上乗せが困難なことから、基本単位数への上乗せに際し、これらの加算に係る消費税負担分も含めて上乗せする。
※ 8%引上げ時は、所定疾患施設療養費、緊急時施設療養費等について対応しています。
また、その際、単位数ではなく基本単位数に対する割合で設定されている加算※、交通費相当額で設定される福祉用具貸与に係る加算については、上乗せ対応は行わない。
※ 8%引上げ時は特別地域加算や中山間地域等における小規模事業所加算等が該当
消費税10%対応の介護報酬引き上げの考え方の議論に注目しています
冬の1日を元気でお過ごしください。
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火曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
平成31年度の介護報酬改定(2019年10月実施)
② 高額対応投資
平成30年度
「有料老人ホームなど特定施設入居者生活介護」の介護報酬改定は次のとおりです。
① 「新しい住宅セーフティネット法」が10月25日から施行されています
④ 有料老人ホームなど基本報酬の引上げを抑え、医療連携に新加算
⑩ ショートステイ特定施設入居者生活介護の利用者数の上限見直し
⑫ スプリンクラー設置義務の経過措置は平成30年3月31日に終了
「通所介護」の重要事項は次のとおり。
⑤ 「栄養改善加算」外部との連携で管理栄養士を配置した場合にも算定可能
⑥ 共生型生活介護など介護と障害福祉の両方で共生型サービスが始まっています。
⑧ 障害福祉サービス事業所が要介護者にサービスを提供する場合
「認知症対応型共同生活介護」重要事項は次のとおり
「介護老人保健施設」重要事項は次のとおり
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収
「訪問看護」重要事項は次のとおり
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
「居宅介護支援」重要事項は次のとおり
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
「訪問介護サービス」重要事項は次のとおり
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。
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