在宅復帰率が低くても、在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定して「加算型」を目指しましょう。~平成30年度介護報酬改定 介護老人保健施設③
平成30年度介護報酬改定の重要な改定事項を、カテゴリー別にご紹介しています。
介護老人保健施設の3回目です。
改定後の在宅復帰・在宅療養等指標により、基本報酬は次の5分類となります。
①超強化型 70点以上
②在宅強化型 60点以上
③加算型 40点以上
④基本型 20点以上
⑤その他 20点未満
改定前の在宅復帰支援機能の評価による施設の分類は次のとおりです。
A 在宅強化型 245施設(13.6%)
B 加算型 530施設(29.3%)
C 従来型 1,032施設(57.1%)
半数を占める従来型Cの1,032施設は、改定後には「基本型」に位置する場合が多いと思われます。
在宅復帰率が低くても基本型から加算型を目指しましょう
「地域特性などのために在宅復帰を進められず、長期入所者が多い老健施設も少なくない。新指標では在宅復帰率は低くても在宅療養支援機能を満たすことで『加算型』が目指せる体系になっている」(日経ヘルスケア4月号)
在宅復帰・在宅療養支援機能等指標は次のとおりです。
Aの「在宅復帰率」から、Jの「経管栄養の実施割合」までの10項目のうち、施設特性に応じて、施設がコントロールできる指標に集中して取り組み、加算型に必要な40点以上をめざすことが必要ではないでしょうか。
(出所:介護給付費分科会資料)
チャレンジすることをおすすめします。
在宅復帰率の点数がゼロの長期入所型の施設でも、例えば次の指標に対して働きかけをしていけば、加算型に移行できる可能性があります。
③ 入所前後訪問指導の割合 30%以上 10点
④ 退所前後訪問指導の割合 30%以上 10点
⑤ 居宅サービスの実施数 5点
⑥ リハビリ専門職の配置割合 5点
⑦ 支援相談員の配置割合 5点
改定後の基本報酬を踏まえて具体例で考えます。
たとえば、改定後の「基本型」と「加算型」であれば、報酬には次のように差異が生じます。
要介護2の場合は、「基本型」の基本報酬は819単位、「加算型」の基本報酬では853単位。34単位増加します。定員100人の施設(満室)で試算しますと、次のようになります。
① 1日 = 3,400単位 ↑
② 1月 = 102,000単位 ↑
③ 1年 =12,240,000円 ↑
「加算型」で算定できれば、入所定員100人で年1,240万円の増収が可能です。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
初夏の1日を元気にお過ごしください。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
平成30年度「介護老人保健施設」の介護報酬改定は、次のとおりです。
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
平成30年度「訪問看護」の介護報酬改定は、次のとおりです。
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
平成30年度「居宅介護支援」介護報酬改定の重要事項は次のとおり。
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
④ 末期がん患者の在宅看取りの際に発生する頻回の支援を評価するターミナルケアマネジメント加算の新設
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
平成30年度「訪問介護サービス」介護報酬改定の重要事項は次のとおり。
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付ける。要介護1=27回以上など
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」