平成30年度介護報酬改定の動向~訪問介護の論点⑤「同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬の見直しとは何か?」
介護報酬改定に係る「訪問介護」の主な論点をご紹介します。
見直しの論点は次のとおりです。(出所:平成30年1月26日第158回介護給付費分科会)
「訪問介護」の見直しの主な論点
① 生活機能向上連携加算の見直し
② 「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化
③ 身体介護と生活援助の報酬の見直し
④ 生活援助中心型の担い手の拡大
⑤ 同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬の見直し(訪問系サービス共通)
⑥ 訪問回数の多い利用者への対応
⑦ サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化
⑧ 共生型訪問介護
⑨ 介護職員処遇改善加算の見直し
今回は
「同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬の見直しとは何か?」を紹介します。
(集合住宅におけるサービス提供の現状について)平成29年11月1日 第149回介護給付費分科会から
□ 不適切事例の是正はぜひとも必要です。一定以上の頻回訪問については、事前にかかりつけ医を含む多職種でアセスメントをして、保険者が個別にケアプランを点検できるようにすることが必要です。
□ 大阪府の調査については、調査対象となった地域、集合住宅入居者の特性などの有無を調べて、条件を合わせた上で比較をしなければ、乱暴な議論になってしまいます。
□ 大阪府の調査結果や今後の実態調査を踏まえて、サ高住や有料老人ホームについて、さらなる減算を行うことについても検討すべきです。
□ ケアマネジャーの客観性、独立性が担保できるような仕組みをしっかりと構築する必要があります。
(財政制度等審議会(平成29年10月25日)の指摘)
□ 高齢者向け住まいの居住する者の在宅サービス利用については、必要以上にサービスが提供されないよう、例えば「特定施設入居者生活介護費」とのバランスも考慮し、報酬を算定できる回数の上限を設定するなどの対応を検討すべきです。
これらを踏まえ、介護サービスの適正化・重点化を図る意味から、「同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬」が見直しされます。
(同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬についての見直し)
① 訪問介護のサービス提供については、以下に該当する場合に10%減算とされていますが、建物の範囲等を見直し、いずれの場合も有料老人ホーム等※以外の建物も対象とします。
ア 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(有料老人ホーム等※に限る)に居住する者(下図の左)
イ 上記以外の範囲に所在する建物(有料老人ホーム等※に限る)に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20 人以上の場合)(下図の右)
② またアについて、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50 人以上の場合は、減算幅を15%に見直します。(下図の中)
※ 有料老人ホームとは、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅です
(図の出所:日経ヘルスケア1月号)
③ 上記①又は①による減算を受けている者と、当該減算を受けていない者との公平性の観点から、上記①又は②による減算を受けている者の区分支給限度基準額を計算する際には、減算前の単位数を用いることとします。(下図を参考)
介護事業は社会課題解決事業です。
介護事業の会計や税務・経営で気になる点について一緒にベストな解決策を検討しましょう。
ご相談については、電話やメールでお気軽にご相談ください(初回無料です)。
みなさん!今日も冬の1日を元気にお過ごしください。
火・木曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬の改定」を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
平成30年度介護報酬改定の動向
訪問介護の改定見直しの主な論点
・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(2/6)
・論点②「自立生活支援のための見守り的援助の明確化とは何か?」はこちら(2/8)
・論点③「身体介護と生活援助の報酬の見直しとは何か?」はこちら(2/13)
・論点④「生活援助中心型の担い手の拡大とは何か?」はこちら(2/15)
訪問看護の改定見直しの主な論点
・論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」はこちら(1/16)
・論点②「ターミナルケアの充実とは何か?」はこちら(1/18)
・論点③「複数名訪問加算の創設とは何か?」はこちら(1/23)
・論点④「訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直しとは何か?」はこちら(1/25)
・論点⑤「報酬体系の見直しとは何か?~基本サービス費を要支援者・要介護者で別立て」はこちら(1/30)
・論点⑥「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/1)
居宅介護支援の改定見直しの論点
・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)
・論点②「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)
・論点③「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(1/2)
・論点④「医療と介護の連携強化とは何か?」はこちら(1/4)
・論点⑤「末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントとは何か?」はこちら(1/9)
・論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」はこちら(1/11)
通所介護サービスの適正化について
・「通所介護に係る基本報酬の減算措置を含めた介護報酬の適正化」はこちら(12/12)
・「通所介護サービスの論点~生活機能向上連携加算の創設」はこちら(12/21)
有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について
・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
・水曜日は「同族会社とその役員の手引き」
・金曜日は「相続税をわかりやすく!」
・土曜日は「会計の勉強を始めた起業者の方に“会計超理解ハンドブック”」
・日曜日は「住宅取得等資金の贈与の非課税」の誤りやすい事例