平成30年度介護報酬改定の動向~訪問看護の論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」
介護報酬改定に係る「訪問看護」の主な論点をご紹介します。
見直しの論点は次のとおりです。(出所:平成29年12月18日「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」)
「訪問看護」の見直しの主な論点
1 在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化
2 ターミナルケアの充実
3 複数名訪問加算の創設(看護補助者の同行可能に)
4 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
5 報酬体系の見直し
6 集合住宅減算(同一建物減算)の見直し
今回は
論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」を紹介します。
「訪問看護の報酬・基準」について、介護給付費分科会で次のような意見がありました。(平成29年11月8日 第150回社会保障審議会同分科会)
(訪問看護の安定的な提供体制のあり方について)
① 訪問看護は24時間365日体制で中重度者や看取り対応、リスクの高い病気の重症化予防が求められることから、大規模化と業務の効率化の推進を前提としたうえで、これらの体制を有する機能の高いステーションを報酬で評価すべきではないでしょうか。
② 複数のステーションが連携しながら24時間365日対応することや、病院・診療所による訪問看護を評価することも中長期的にあっても良いのではないでしょうか。
(看取り期の訪問看護について)
① 介護保険の限度額上限があるなか、ターミナル期の訪問看護をどのように評価していくのか、検討が必要ではないでしょうか。
② 特にターミナル期は日々状態が変わるため、訪問介護と訪問看護が随時対応できる連携体制を構築する必要があります。
こうした議論の中で、「在宅における中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応」の必要性が指摘され、次の視点から、訪問看護の報酬・基準の見直しが検討されました。
(利用者の医療ニーズへの重点的な対応)
特に看取り期における対応の充実を図るために、利用者の医療ニーズに重点的な対応をしている事業所についてさらなる評価を行ってはどうか。
(緊急時訪問の評価)
24時間対応体制のある訪問看護事業所からの緊急時訪問について、さらに評価を行ってはどうか。
これらの課題を踏まえて「在宅における中重度の要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応の強化」について、次の方針が示されています。
①(看護体制強化加算の拡充)
看護体制強化加算について、月の変動による影響を抑える観点から、現行3か月である緊急時訪問看護加算等の算定者割合の算出期間を見直します。
具体的には「同加算要件の『3か月間の緊急時訪問看護加算を算定した利用者数の割合 50%以上』について、月の変動による影響を押さえる観点から3か月という期間を、より長い期間に見直す」(日経ヘルスケア12月号)
②(ターミナルケア加算の充実・見直し)
ターミナル体制の充実を図る観点から、ターミナルケア加算の算定者数が多い場合について新たな区分を設ける等の見直しを行います。
具体的には「看護体制強化加算の算定要件である『12か月間のターミナルケア加算の算定者1名以上(介護予防を除く)』において、このターミナルケア加算の算定者が多い場合をより評価する看護体制強化加算の上位区分を設ける」(同12月号)
③(緊急時訪問の評価見直し)
24 時間対応体制のある訪問看護事業所からの緊急時訪問を評価することとします。
具体的には、現行、早朝・夜間、深夜の訪問看護に係る加算については、2回目以降の緊急時訪問において、一部の対象者(特別管理加算算定者)に限り算定できることとなっていますが、この対象者について拡大を図ることとします。
(※ 図は第150回社会保障審議会同分科会の資料から)
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平成30年度介護報酬改定の動向
居宅介護支援の改定見直しの論点
・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)
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・「身体介護を含めて訪問介護の報酬を見直し」はこちら(12/7)
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