大阪府の住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅における「サービス利用の見える化」
29日のブログ記事に続けて、大阪府の調査報告書を取りあげます。平成30年度の介護報酬改定に向けて、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会で在宅サービスについて議論が進んでいます。その中で、大阪府の調査報告書もとりあげられています。
大阪府の専門部会は、次のとおり課題と対応を指摘しています。
(以下は大阪府高齢者保健福祉計画推進審議会専門部会報告書「大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性について」平成 28 年12 月16 日から、概要は上図)
ひとつめは、「住宅型有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅(指定なし)は、全体的な実態が把握しにくい」という課題があります。その対策として、次の点について総合的な議論が必要としています。
① 府において各保険者等も交えながら引き続き実態把握
② ケアの質の評価(見える化)や住宅運営事業者、居宅サービス事業所に対する指導監督
③ 府と保険者との連携のあり方
「ケアの質の評価(見える化)」とは、どういう具体的な取り組みなのでしょう?
課題のもうひとつは、「『囲い込み』による過剰なサービス提供への対応」です。次のことを行っていくことが求められています。
① 府・市町村の連携により、集中的なケアプラン点検を行っていくこと
② 府においては
ⅰケアプラン点検の先進事例の紹介や勉強会の実施
ⅱ利用実態の見える化の構築に向けた検討
ⅲ指導監督の連携によるサービス利用の実態把握と適正化までのモデル事例の支援
③市町村においては
住宅型有料老人やサービス付高齢者向け住宅の建設前の事前相談等の機会を活用し、入居者像や提供するサービス内容等を確認
さらに課題があります。それは「高齢者住まいの質向上に向けた取組の強化」が必要ということです。そのため次の対応が取りあげられています。
① 従事者による虐待の未然防止等のための指導監督の一層の強化や未届有料老人ホームに対する指導を重点的に実施すること
② 急増する有料老人ホーム等の健全な経営やそこで働く介護職員の適正な労働環境を確保することを通じて、利用者保護を図ること
こうした対応策の中で、次の取り組みが一番重要だと思います。(今後の具体的な取り組みに注視していく必要があります。)
それは「高齢者住まいにおけるサービス利用の見える化」です。次の取り組みです。
「住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅の入居者については、実態として要支援・要介護の高齢者が中心となっている一方で、特別養護老人ホームなどの施設サービスと異なり、高齢者住まいの運営事業者と介護サービス事業者が異なるケースが一般的です。提供されている介護サービス内容が外部からは見えにくいという課題があります。
近年、指摘されている未届有料老人ホームの把握精度を高める観点からも、高齢者が実際に住んでいる住まい(場所)を特定し、介護保険サービスの利用実態を随時把握できるよう、システム的な対応(見える化)を検討」するというものです。
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の記事は次のとおりです。
「『大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性』では、データベースが整備されていない問題やケアマネジャーの資質向上が必要という指摘」はこちら(8/29)
「軽度者に対する生活援助サービスの給付のあり方」はこちら(8/27)
「資金ショートを防ぐ、介護事業の開業時運転資金の調達は計画的に。」はこちら(8/26)
「大阪府内の有料老人ホーム等における介護サービス利用状況の実態調査」はこちら(8/24)
「大阪府内の『サ高住等』は、サービス利用が非常に高い。」はこちら(8/22)
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月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」
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