介護給付費分科会の資料「大阪府内の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等における入居者の介護サービス利用状況の実態調査」
社会保障審議会・介護給付費分科会で在宅サービスについて議論されています。その資料の中で、大阪府の調査報告書がとりあげられています。
22日のブログ記事に続けて、今日はその大阪府の調査報告書を取りあげます。
(上図は平成29年7月5日第142回 社保審-介護給付費分科会の「訪問介護及び訪問入浴介護」参考資料1から)
「大阪府における介護施策の現状と課題、対応の方向性」大阪府高齢者保健福祉計画推進専門部会報告書(平成28年12月16日)です。
その報告書にさきだって大阪府は「高齢者住まいにおける介護サービス利用状況の実態調査」を行っています。なぜ実態調査を行ったかというと、調査趣旨は次のとおりです。
1 大阪府における要介護2から5までの高齢者数に対する施設・居住系サービス※の利用者割合は、28.6%と全国で一番低い状況(全国平均は37.1%)です。
他方、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の合計戸数は全国で最も高い水準の戸数となっています。
※ 特別養護老人ホーム、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム等)、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、介護療養型医療施設。
2 こうした中、有料老人ホームの約6割を占める住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅(特定施設入居者生活介護の指定なし)については、一部に「囲い込み」による過剰なサービス提供を指摘する声があります。
3 特別養護老人ホームなどの施設サービスと異なり、住宅型有料・サ高住の運営事業者と介護サービス事業者が異なるケースが一般的であり、保険者において「入居者」を特定した上で、利用する介護保険サービスの種別や金額を随時正確に把握できるシステムが存在しないことから、提供されている介護サービス内容が外から見えにくいという課題があります。
4 このため、昨年9月、専門部会参加11市町に呼びかけ、住民票の住所地情報との突合により、名寄せできる被保険者番号を元に、高齢者住まいの入居者の要介護度、介護サービスの利用実態等を分析しました。
この大阪府報告書中の実態調査をもとに、厚生労働省が次のとおり資料を作成・報告しています。「大阪府の現状」を次のとおり指摘しています。
1 在宅サービスの介護費は
介護費は全国と比べて高い(16%増)が、特に在宅介護費が突出して高い(34%増)。
2 在宅サービス利用者の増加が著しい
大阪府内の在宅サービス利用者数の増加は、全国平均と1.7倍(=6.96倍/4.06倍)ときわめて高い。
3 サ高住等の施設数の増加は著しい(下図の棒グラフ参照)
・介護保険3施設※1 610 (H22年) → 666(H28年) 9%増加
・有料+サ高住※2 325 (H22年) → 1,354(H28年) 317%増加
※1 介護保険3施設とは、特別養護老人ホーム、老健施設、介護療養型医療施設。
※2 有料とは有料老人ホーム、サ高住とはサービス付き高齢者向け住宅のこと。
4 サ高住等の定員数の増加は著しい(上図の折れ線グラフ参照)
・介護保険3施設 48.455人 (H22年) → 53,166人(H28年) 9%増加
・有料+サ高住 17,901人 (H22年) → 59,215人(H28年)231%増加
大阪府専門部会は、こうした高齢者の住まいにおいて提供されている介護サービスの実態から、次のような課題を指摘しています。
・わずか6年で有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅は3倍超に。
・区分支給限度基準額に対し、住宅型有料で90.7%。サ高住(指定なし)で86.0%ものサービス利用。
・要介護3以上では、特養以上に費用がかかっている。
高齢者住まいの入居者のサービス利用の適正化にかかる検討を図り、30年度策定予定の第7期高齢者計画に必要な対応を行うとしています。
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最近の【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の記事は次のとおりです。
「大阪府内の「サ高住等」は、サービス利用が非常に高い。」はこちら(8/22)
「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)
「特別養護老人ホームの収支差率の推移について」はこちら(8/15)
「収支差率と売上高経常利益率について」はこちら(8/13)
「主な在宅サービスの収支差率について」はこちら(8/12)
「介護保険や介護事業について私は情報収集をどうしているから?」はこちら(7/27)
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