「地方自治体がまちづくり株式会社をつくり、総合事業改革塾を始める。」逢坂伸子氏の取り組み【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】
8月1日の記事の続きを紹介します。
よどまちカフェで開催された「自治体がまちづくり株式会社?~総合事業改革塾とは~大東市の野望」というセミナーの中で、逢坂伸子氏が紹介された取り組みです。
セミナ-:「自治体がまちづくり株式会社?~総合事業改革塾とは~大東市の野望」
主催:よどきり医療と介護のまちづくり(株)と(株)TRAPEの共催
解説は
講師:大東市地方創生局兼保健医療部 高齢介護室
課長参事 理学療法士 逢坂伸子(おうさか のぶこ) 氏
(上図は平成28年 度大東市「高齢者のための暮らしの情報」から)
逢坂氏は「現在総合事業で起こっている」こととして、次のとおり。
・約1000の自治体で取り組んでいるが、総合事業の準備期間が充分でなかった。
・介護職に代わる新たな担い手の力を育むとともに、支えを必要とする虚弱高齢者の発生を予防し、増え続ける介護給付費の伸びを少しでも食い止める必要があります。大東市は平成28年4月に開始しました。
・自治体の「よくある総合事業」として
① ほとんどの総合事業対象者は、現行相当サービスを使い続けています。
② 多様なサービスを提供というが、通所も訪問もサービスAしかつくっていません。しかも一部の事業所がやっているだけです。
③ サービスAは資格要件を外すことで、介護以外の担い手が総合事業に参画するチャンスであるにもかかわらず、プロの介護職がやっています。
④ 通所サービスCがあるにもかかわらず、従来の二次予防教室をそのまま継続しているだけの状況です。
⑤ サービスCは通所・訪問介護からの卒業を目指していません。
逢坂氏は大東市の取り組みについては、次のとおり。
・地域に通いの場所がなければ、虚弱高齢者は地域から離れます。高齢者がデイサービスに行くことで地域住民の見守りや助け合いが育つ側面があります。
・大東市の「住民主体の介護予防」の取り組みが成果を上げている要因は
① 市役所の関係部署で理念の統一を進めたこと
② 自立支援の向けてのマネジメント力と技術向上に取り組んだこと
③ 住民主体の通いの場という地域資源の充実に取り組んだこと
大東市には、住民が主体となる介護予防の取り組みには、次のような歴史があります。
・平成16年度に地域ケア会議で町ぐるみの介護予防の必要性を提言しています。
・平成17年度に虚弱者も参加できる「大東元気でまっせ体操」を開発し、一次・二次予防対象者の枠組みにとらわれず、自治会、町内会単位で住民主体での活動の場の普及に取り組んでいます。
・老人会のイベント等で介護予防について普及啓発しています。
・住民主体の活動の場の育成及び世話役を養成しています。
・体操教室後に民生委員、校区福祉委員、世話役が集合。地域の虚弱高齢者情報を共有し、具体的な対策を検討しています。
(下図は厚生労働省老健局振興課「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」より)
このように大東市は介護予防に10年以上前から取り組んでいます。第1号被保険者の要介護認定率は平成17年までは全国平均を上回っていましたが、介護予防の取り組みの結果、それ以降は全国平均を下回っています。
保険者としての市町村のマネジメント力が発揮されている好例だと思います。
偶然にもこのセミナー開催の翌日、7月19日にNHKで放送された「クローズアップ現代+」で大東市の取り組みが紹介されていました。
それについては8月5日(土曜日)にお伝えしますね。
火・木・土曜日は、最近は「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
入門書よりさらに分かりやすい「門前書」を目指して、介護事業の基礎知識をバージョンアップさせるとともに、お会いする介護事業者の方の取り組み方や考え方などを紹介していきたいと思っております
読まれた後で、ご意見や感想をいただければ、嬉しいです。
【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】は、次のとおりです。
・「介護保険や介護事業について私は情報収集をどうしているか?」はこちら(7/27)
・「『大東市がつくった株式会社が、総合事業改革塾を開校する』~二重の驚きです」はこちら(7/29)
・「大東公民連携まちづくり(株)の理念は、全国で200億円~1,000億円の社会保障費を削減し、国民を健康にする」はこちら(7/30)
・「『生活サポート事業は介護保険外サービス外の支援が可能』や『大東元気でまっせ体操』大東市の逢坂伸子氏の取り組み」はこちら(8/1)
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