「有料老人ホームが業務停止命令を受けた場合や倒産した場合」~地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の改正
改正においては、有料老人ホームの入居者保護のための施策が新設されています。その中から今回は「有料老人ホームが業務停止命令を受けた場合や倒産した場合」を紹介します。
最後にご紹介する入居者保護のための施策は、ホームが業務停止命令を受けた場合や倒産した場合のためのものです
事業停止命令や倒産等の際に、有料老人ホームの入居者の心身の健康の保持や生活の安定を図るため必要があるときは、都道府県等は、入居者が介護等のサービスを引き続き受けるために必要な援助を行うことになります。
具体的には、次の規定が老人福祉法の第29条に新設されます。(平成30年4月1日から適用)
第17項(新設)
「都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が第14 項の規定による命令を受けたとき、その他入居者の心身の健康の保持及び生活の安定を図るため必要があると認めるときは、当該入居者に対し、介護等の供与を継続的に受けるために必要な助言その他の援助を行うように努めるものとする」
なぜ今までこの規定がなかったのでしょうか?詳しい内容は今後、政令や省令で定められます。
既にお伝えしてきた老人福祉法改正による有料老人ホームの見直し事項をまとめると次のとおりです。
① 事業停止命令の創設(平成30 年4 月1 日から適用)
再三の指導に従わずに悪質な事業を続ける有料老人ホームへの指導監督の仕組みを強化するため、未届有料老人ホームも含め、悪質な有料老人ホームに対する事業停止命令を新設します。(従来は、改善命令のみを規定していました)
② 前払金保全措置の義務の対象拡大(平成33 年4 月1 日から適用)
事業倒産等の場合に備えた有料老人ホームの入居者保護の充実を図るため、前払金を受領する場合の保全措置の義務対象を拡大します。(従来は、平成18 年3 月31 日以前に届出された有料老人ホームは、前払金の保全措置の義務対象外となっていました。今回の改正によって義務対象に追加されます。なお経過措置として法施行から3年後からの適用となります)
③ 有料老人ホーム情報公表の促進(平成30 年4 月1 日から適用)
入居希望者のニーズに合った有料老人ホームの選択に資するとともに、事業者の法令遵守の確保を図るため、各有料老人ホームが提供するサービスの内容等※ について都道府県等への報告を義務付けるとともに、現在都道府県等に作成・公表を求めている有料老人ホームの情報一覧表※ の公表を義務付けます
※施設概要、利用料金、サービス内容、前払金の保全措置( 前払金を受領する場合)等の予定
これらの見直し事項は未届の有料老人ホームにも適用されます。
老人福祉法に基づく届出がなくても、有料老人ホームの要件に該当する施設(未届の有料老人ホーム)も、届出されている有料老人ホームと同様に、老人福祉法の規定が適用され、指導監督の対象となっています。見直し事項についても、未届の有料老人ホームにも適用されます。
(内容は厚生労働省老健局高齢者支援課から発出されている資料から作成しています)
介護保険法の改正に関する記事は次のとおりです。
・「介護保険法等の一部を改正する法律案」はこちら(4/29)
・「介護保険法等の一部を改正する法律案」はこちら(5/6)
改正の記事は次のとおり(①~⑤)
① 財政的インセンティブの導入について
・「財政的インセンティブの導入」はこちら(6/13)
・「財政的インセンティブの導入~和光市の事例」はこちら(6/15)
・「財政的インセンティブのロールモデルとなった和光市の自立支援」はこちら(6/17)
・「高齢者の自立支援が理念となっている和光市」はこちら(6/20)
・「モデルとなった和光市の徹底した自立支援の意識付け」はこちら(6/22)
・「和光市の地域支援事業」はこちら(6/24)
・「和光市の市町村介護予防強化推進事業」はこちら(6/27)
② ケアマネジメントのあり方の見直しについて
・「2018年4月から居宅介護支援の指定権限を市町村に移管」はこちら(6/29)
・「地域包括支援センターの機能を強化」はこちら(7/1)
・「地域ケア会議におけるケアプラン点検の徹底」はこちら(7/4)
③ 市町村による事業所の指定拒否の仕組みの拡大について
・「市町村による事業所の指定拒否の仕組みの拡大」はこちら(7/6)
・「地域密着型サービスは総量規制の対象になります」はこちら(7/8)
④ 「共生型サービスの」の創設はこちら(7/11)(7/13)
⑤ 有料老人ホームの入居者保護のための施策について
・「悪質な有料老人ホームへの業務停止命令を新設」はこちら(7/15)
・「都道府県に有料老人ホーム情報一覧表の公開を義務化」はこちら(7/18)
・「前払金の保全措置を講じる義務があるホームの対象が拡大」はこちら(7/20)
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社設立後に必要な手続きと必要な書類」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や相続に関する知識」
火・木・土曜日は、介護事業についての記事のうち、しばらくは介護保険法の改正にかかわる記事を紹介しています。
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