社会福祉法人に対する自治体独自の補助制度は、法人形態を問わず公平な補助制度とすべき(公正取引委員会)
昨日に引き続き、公正取引委員会が平成28年に公表した「介護分野に関する調査報告書」のうち、補助制度・税制等にかかる「②事業者が公平な条件の下で競争できる環境の整備」の部分をお伝えします。
調査報告書は次のように提言しています。
①競争政策上の考え方から
「事業者が公平な条件で介護サービスを提供することを通じて、利用者がより良いサービスを享受できることが重要である。」
②したがって補助制度については
「自治体は,助成・補助に当たっては経営主体による差異を設けないように求める厚生労働省の通知の趣旨を踏まえ、独自に行う補助制度について、法人形態を問わず公平な補助制度とすべきである。」
③特別養護老人ホームに対する補助については
「特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホーム等は市場において、一定程度競合しているといえることから、補助制度のイコールフィティングという観点からは、特別養護老人ホームに対する補助は、例えば、低所得者層の自己負担の軽減等といった公益的な役割を果たすために必要な範囲で行われるべきであり、それを超える過剰な補助は好ましくないものと考えられる。」
ようするに補助制度は次の方向で検討することが必要と言っています。
- 自治体独自の補助制度 ⇒ 法人形態を問わず公平な補助制度とすべき
- 特別養護老人ホームに対する補助 ⇒ 公益的な役割を果たすために必要な範囲で行われるべきであり、それを超える過剰な補助は好ましくない
なお、報告書を読んで初めて知りました。厚生労働省は次のような通知を自治体に発出しているのですね。
自治体が独自に実施している助成・補助制度に関連し、「規制改革実施計画」(平成26年6月24日閣議決定)において、「厚生労働省は、地方公共団体が独自に実施している助成・補助制度において、経営主体による差異を設けないよう、地方公共団体に要請する」こととされた。
そして、これを受けて平成28年3月31日に厚生労働省は、各自治体宛てに次の通知を発出した。
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長通知 地方公共団体が独自に実施している助成・補助制度について(平成28年3月31日社援基発0331第5号)(抜粋)
「地方公共団体が独自に実施している助成・補助制度について、平成26年6月に閣議決定された『規制改革実施計画』において、経営主体による差異を設けないよう地方公共団体に要請することが求められています。つきましては、貴職においては、助成・補助を実施するに当たっては、上記の内容を踏まえていただくようにお願いします。また、都道府県においては、管内の市町村(指定市及び中核市を除き、特別区を含む。)に対して周知いただきますようお願いいたします。」
報告書にある「イコールフィティング」とは「競争を行う際の諸条件を平等にすること。」という意味のようです。
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