土地賃貸借の同族関係者間(個人×法人)の地代課税の考え方 ~ 「土地の無償返還に関する届出書」とは何ですか⑥
木曜日は、法人税などの節税の記事を紹介しています。
代表者が所有する土地等を、無償で同族会社が借り受けた場合について、「土地の無償返還に関する届出書」が提出する場合の考え方を紹介してきました。
今回は、同族関係者間を前提として地代課税の考え方を検討します
土地所有者が個人(地主)で、借地人が法人のケース
個人(地主)の「地代」の考え方
個人の土地所有者には、地代の認定課税という考え方はありません。
したがって、地代の額は、使用貸借(固定資産税に相当する金額以下)から相当の地代以下の金額の範囲で設定することができます。その範囲内であれば問題ありません。
土地所有者が個人(地主)である場合は、実際に受け取った地代が不動産所得の収入金額とされます。地代の差額が認定されて課税されることはありません。
つまり、個人地主に対して、無償または低額による役務の提供(地代等)を収益の額として課税する規定(所得税法)はありません。
実際の地代の金額により不動産所得を計算します※。
この場合の法人(借地人)側の考え方は次のとおりです
地代が無償であった場合、「地代の支払い」と「地代の免除」がどちらもあったと考えます。
したがって、地代の認定課税はありません。
たとえば、地代の金額が100,000円であった場合、法人側の仕訳は次のようになります。
(借)(支払地代)100,000 / (貸)(免除益)100,000
土地所有者が法人地主で、借地人が個人のケース(さきほどのケースと逆の場合)
法人が所有する土地を他人に賃貸して、建物などを建てさせたときには、借地権が設定されたことになります。したがって、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときは、権利金の認定課税が行われます。
ただし、次のいずれかに該当する場合には、権利金の認定課税は行われません。
①その土地の価額からみて、相当の地代を収受している場合
②その借地権の設定等に係る契約書において、将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で、税務署長に提出している場合
上記②の場合、実際に収受している地代が相当の地代より少ないときは、その差額に相当する金額を借地人に贈与したものとして取り扱います。
なお、相当の地代はおおむね3年以下の期間ごとに見直しを行う必要があります。
このように法人地主で、借地人が個人の場合のうち
上の②のケース(「土地の無償返還に関する届出書」を提出し、相当の地代に満たないケース)では、借地人に対する贈与の問題や相当の地代の額とはいくらか?という問題が出てきます。
※ <参考> 所得税法第36条 収入金額
「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。」
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http://www.y-itax.com/category/houjin/
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