給与アップより社宅を提供。社員と法人、双方がお得です~知っておきたい法人節税策の基礎知識⑥【創業者向け】
木曜日は、創業者対象に法人の節税策をわかりやすく紹介しています。
社宅制度は福利厚生の充実だけでなく、社宅を提供する方法は、社員と法人、両方にメリットがあります
会社が借りる一般的な借り上げ社宅で説明します
会社がマンションまたはアパートの所有者と賃貸契約を結び、大家に家賃を支払います。
その家賃は全額が会社経費になります。
そして、会社はその建物を利用している社員から一定額の家賃を受け取ります。家賃を徴収しないと、給与として課税されます。
参考記事
たとえば、会社が社員に住宅手当5万円/月として支給し、社員は家賃9万円/月の部屋を借りていました。
次のように変更します。
「会社は家賃9万円/月のその部屋を借り上げて社宅にします。社員から5万円を家賃として受取ります。そのかわり差額4万円分を社員の給料を下げます。」
■社員
給料は4万円下がります。しかし、社員は9万円の部屋に5万円で住めます。
さらに給与が4万円下がりますので、給与に対応する所得税、住民税、社会保険料の負担が減少し、実質的に社員の受け取る手取額は増えます。
■会社
会社が大家に支払う家賃9万円/月は損金、社員から受け取る家賃5万円/月は益金。差額の4万円/月が経費として発生します。
しかし、社員の給与4万円を下げていますので、会社負担は変わりません。
会社の節税ではありませんが、社宅による福利厚生の仕組みを使って、会社の負担を変えず、社員の給与の手取額を実質的に増やすことができます。
住宅手当の支給は
住宅手当は給与となりますので、個人の税金や社会保険料の負担が増加するともに、会社が負担する社会保険料(法定福利費)が増加してしまいます。
次のようなイメージです。
この場合はあわせて「社宅に関する規程」を定めるようにしてください。
また、無償で社員に社宅を貸与できるケースがあります
看護師や守衛など、仕事を行う上で勤務場所を離れて住むことが困難な従業員に対しては、仕事に従事させる都合上社宅や寮を貸与する場合には、無償で貸与しても給与として課税されない場合があります。
少し作為的な方法ですので、慎重にご検討をお願いします。
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしくださいね。
【編集後記】
画像は「ハルちゃん」です。
木曜日は
「知っておきたい法人節税策の基礎知識【創業者向け】」を載せています。
同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
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