1年以内の短期前払費用については期間対応による繰延経理をせずに、その支払時点で損金算入できます ~ 法人節税策の基礎知識[100]
今回は
ただしその支払った日から1年以内に提供を受けるものに限られます
を紹介します。
たとえば
Q:
当事者間の契約により、年1回3月決算の法人が次のような支払を継続的に行うこととしているものについては、法人税基本通達2-2-14を適用し、その支払額の全額をその支払った日の属する事業年度において損金の額に算入して差し支えありませんか?
事例A
期間40年の土地賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の地代月額1,000,000円を支払う。
事例B
期間20年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(4月から翌年3月)241,620円を3月末に前払により支払う。
事例C
期間2年(延長可能)のオフィスビルフロアの賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の家賃月額611,417円を支払う。
事例D
期間4年のシステム装置のリース料について、12ケ月分(4月から翌年3月)379,425円を3月下旬に支払う。
A:事例A~Dは
その支払額の全額をその支払った日の属する事業年度において損金の額に算入して問題ありません。
このルールの趣旨は、1年以内の短期前払費用について、収益との厳密な期間対応による繰延経理をすることなく、その支払時点で損金算入を認めるというものです。
企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるというものです。
ただし、利益が出たから今期だけまとめて1年分支払うというような利益操作のための支出や収益との対応期間のズレを放置すると課税上の弊害が生ずると認められるものは、NGです。
(出所:国税庁 法人税 質疑応答事例)
<参考>
法人税基本通達2-2-14
短期の前払費用
「前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。」
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
春の1日、元気にお過ごしください。
[編集後記]
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