会社が、社長からお金を借りる場合に、利息と税金はどうなりますか?
水曜日は、「同族会社とその役員との取引」について税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介しています。5回目です。
問題が発生させないために、税務上の予防として対策を考えていきたいと思います。
前4回は、「会社が、社長から事業用建物を借りる場合」、「会社が社長に住宅を貸す場合」を想定して、会社と社長との間での、建物や住宅の貸し借りがあった場合の税務上の適切な考え方を紹介しました。今回から、金銭の貸し借りがあった場合を想定します。
「会社が、社長からお金を借りる」場合の注意点を考えていきます。
開業間もない会社であれば、まだまだ信用力がありませんので、銀行から自由に融資を受けることが困難です。そこで、会社が社長からお金を借りることがあります。
このような場合には、次の3点がポイントです。
1 金銭消費貸借契約書の作成
2 取締役会議事録(取締役会の承認)または株主総会議事録(株主総会の承認)
3 適正な利息の設定
1 金銭消費貸借契約書の作成とは
会社が社長からお金を借りるということは、会社と社長との間で「金銭消費貸借契約」を締結することと同じです。通常の金銭消費貸借契約を締結する場合と同様です。忘れないように次の点に明らかにした契約書を作成することが大切です。
① 当事者の氏名
② 金額と金銭交付日
③ 契約日
④ 弁済方法と弁済期限
⑤ 利息および利率 など
2 取締役会議事録(取締役会の承認)とは
会社法での問題が発生します。会社と社長との取引になります。「自己取引」といいます。自己取引をする場合には取締役会の承認を得ることが必要※になります(取締役会を設置していない会社においては、株主総会の承認を得ることが必要になります)。
会社が社長からお金を借りるという事は、「自己取引」となりますので、取締役会の承認をことが必要になります。
※ 役員が会社の利益の犠牲において自己の利益を図ることを防止する趣旨です。
3 税法上の適正な利息の設定
税法では、会社と役員がお金の貸し借りをする場合の「適正な利率」を次のように定めていますので、その金利を設定する必要があります。
① 社長などが貸し付けの資金を銀行などから借り入れている場合(いわゆる「ひも付き」)には、その借入利率となります。
② 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる借入利率
<参考>所得税法基本通達36-49 利息相当額の評価
次回の11/15水曜日は、会社が社長からお金を借りる場合に、高い金利でお金を借りた場合を考えます。
会社と役員の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生します。
税金の常識は、日常の常識と相違する場合がありますので、事前に専門家に相談されることをおすすめします。
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