売掛金を回収できない場合など不良債権が発生したときは、貸倒損失として特別損失に計上します ~ 法人節税策の基礎知識[97]
今回は
回収の努力をしてエビデンスを残しそれでも回収できないものを貸倒処理します
を紹介します。
税務上の貸倒損失のルールは厳密に定まっています
「法律上」、「事実上」、「形式上」の3つのケースがあります。このうちよく使われる「事実上の貸倒れ」のルールの取り扱いを説明します。
「事実上の貸倒れ」のルールとは
① 債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。
② 担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。
つまり
売掛金の全額が回収不能になった事業年度に計上するという点がポイントです。
「債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らか」とは
具体的には次のような状況をいいます。
「たとえば、債務者について破産、強制和議、強制執行、整理、死亡、行方不明、債務超過、 天災事故、経済事情の急変などの事実が発生したため回収の見込みがない場合のほか、 債務者についてこれらの事実が生じていない場合であっても、その資産状況等のいかんによってはこれに該当するものとして取り扱うなど弾力的に行なわれるものと考えられる。」
(法人税法基本通達逐条解説 9-6-2 回収不能の金銭債権の貸倒れ)
こうしたルールを踏まえて回収できない売掛金については
■ 督促の電話をして状況を書き留めておきます。
■ 督促状を送付します。
■ 直接訪問をして債務者の状況を調べます。
■ 調査会社により債務者の信用状況を調べます。
■ 弁護士から催告状(内容証明)を出してもらいます。
など、エビデンスを集める工夫と努力をして、回収できないという事実をあきらかにしておく必要があります。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
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