会社が、社長から事業用建物を借りる場合に、家賃と税金はどうなりますか?
3月から毎週水曜日は、27回にわたって「法人成り」をご紹介してきました。10月4日、最後に「法人成り」の要点をとりまとめました。先週でいったん「法人成り」のシリーズを終了します。
今回から水曜日のブログでは
「オーナーが社長である同族会社とその役員との取引」について、税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介していきます
会社の99.9%が同族会社ですので、ほとんどの会社が該当します。
同族会社とその社長との間では、取引が行われるケースがよくあります。このような場合には、通常の市場での取引では考えられないような内容で、同族会社とその社長との間で行われる取引があります。特に、土地建物の貸借、売買、金銭の貸借の取引に税務上問題となるケースが発生します。
将来にわたって問題を発生させないために、また大きな問題とならないように、税務上の予防として対策を考えていきます。
建物の貸借で、会社が社長から事業用建物を借りる場合をご紹介します。
【社長からの照会】
「会社設立して間もないため、資金的に弊社は事務所を借りることができません。とりあえず、社長の自宅の一部を間借りしています。無料で使用することも考えましたが、今後のことを考えて、会社から社長に家賃を支払うことを考えています。このような場合、弊社の立場で注意すべき点は何ですか?」
【回答】
① ルールがあるわけではありません。
貴社が、社長から事務所を借りる場合の家賃については、法人税法上、ルールがあるわけではありません。
② 家賃は、通常の家賃相当額との比較になります。
原則として、その建物を第三者から借りた場合に支払う通常の家賃によって、判断することになります。
③ 高い家賃を支払ってはいけません。
社長が給与課税されないために、通常の相場と比較して、高額な家賃を支払ってはいけません。
会社が支払う家賃は、法人税法上、もちろん損金になります。支払う家賃が極端に低い場合は、通常の家賃との差額が、社長から会社に対する贈与と、考えられます。
しかし、法人税法上は次のように考えられますので、損金と益金が相殺されることになり、所得金額には影響がありません。
支払家賃(損金算入) 〇〇円 / 受 贈 益(益金算入) 〇〇円
一方、会社が支払う家賃が高額な場合には、通常の家賃に比べて高い部分に相当する金額は、社長の報酬になります。その高額な部分に相当する金額を加えた金額で、役員報酬の限度額の判定をする必要がでてきます(また、源泉徴収税額が変わってきます)。
会社と役員の取引には、リスクがともないます。事前に専門家に相談されることをおすすめします。
会社と役員の税金に関してお悩みの方は、電話やメールでお気軽にご相談ください(初回は無料です)。
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」
・「法人成りのメリットとデメリット!税金面だけ考えると法人成りをした方が有利です。」はこちら(10/4)
・「経営セーフティ共済は不動産所得のみの個人事業主は必要経費に算入できません。法人では損金になります」こちら(9/27)
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の火・木曜日の介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。
・「なぜヘルスケアサービス事業創出なのか?(志水武史氏)」はこちら(10/10)
・「ヘルスケア業界の今とビジネスプランの基本的な考え方 志水武史氏」はこちら(10/5)