会社にした場合の特有のメリット。「法人成り(ほうじんなり)」のメリットを考えます。
前回で「会社設立後に必要な手続き」は終了します。
毎週水曜日のブログでは「法人成り」のメリットとデメリットをお伝えしてきました。今回から会社で事業をした場合のメリットのポイントを、おさらいしてお伝えしていきます。
「法人成り(ほうじんなり)」とは、
ウィキペディアでは
「個人事業主が手続きを行い、株式会社や合同会社などの法人に成り代わることです。」
そしてメリットとデメリットを次のように適記しています。
メリット
・税率の違い(累進税率と比例税率)
個人事業主の利益に対しては「所得税が課せられる」のに対し、法人に対しては法人税が課せられます。所得税は超過累進課税で計算されるため、利益を得れば得るほど税金が課されます。それに対し、法人税の税率は常に一定であるため、ある水準の所得を超えた場合、法人の方が有利になります。
・消費税の免除
2年前の課税売上金額に応じて課せられます。新設法人はそれがないため、結果として免除されることとなります。(資本金が1千万円以上の法人の場合は特例で課税されます。)資本金が1千万円未満であれば消費税は2年間免除されます。
デメリット
・社会保険等の手続きやその法定福利等費の増加
法人の場合、業種や従業員数に関わらず、労働保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の強制適用事業者となります。保険関係成立届の提出などの手続きや法定福利費など経費がかさみます。
「法人成り」の最大のメリットは、個人と法人の税法の違いを踏まえた節税メリットです。「税率」や「消費税の免除」は、基本的な制度上のものです。
さらに、ある程度の事業サイズが大きくなると法人で事業を行う方が、個人事業よりも、節税の工夫の幅が広くなるというメリットがでてきます。
一番のメリットは「給与所得控除」を活用する次のようなメリットです。
1 法人から報酬や給料を受け取る場合に「給与所得控除」を活用します。
会社を設立して、その会社から事業主が給与を受け取る場合、「給与所得控除」が適用されます。つまり、一人で事業をおこなっていた個人事業主は、会社を設立して、会社で同じ事業を行うことにより、この概算経費である「給与所得控除」を適用することができます。
そのように考えると、個人で事業を行うより、会社で事業を行う場合「給与所得控除額」に対する税率分の税金が減少することになります。
2 「給与所得控除」は利益を家族に分散できるというメリットがあります。
たとえば会社利益で1,200万円がある場合、これを事業主1人で給与を受ける場合と、3人(たとえば、事業主、奥さん、息子さんと3人)で400万ずつ受ける場合を比較します。
① 事業主1人の給与所得
1,200万円-220万円(給与所得控除額)=980万円
事業主1人分の「給与所得控除額」は220万円
② 本人、奥さん、息子さんの各人の給与所得
400万円-134万円(給与所得控除額)=266万円
3人分の「給与所得控除額」の合計額は、134万円×3人=402万円
③ 従って、①と②の給与所得控除額を比較すると、①402万円-②220万円=182万円になります。ようするに、所得を分散することにより給与所得額を有効に活用することが可能になります。(個人でも青色専従者給与というものがあります。一定の要件が必要になります。)
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社設立後に必要な手続きと必要な書類」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
火・木・土曜日は、最近は「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
入門書よりさらに分かりやすい「門前書」を目指して、介護事業の基礎知識をバージョンアップさせるとともに、お会いする介護事業者の方の取り組み方や考え方などを紹介していきたいと思っております
【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】最近の記事は次のとおりです。
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「特別養護老人ホームの収支差率の推移について」はこちら(8/15)
「収支差率と売上高経常利益率について」はこちら(8/13)
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