役員が会社から建物を借りる(社宅)の適正な家賃について考えます ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識[59]
木曜日は法人税の記事を掲載しています。
今回は
役員が会社から建物を借りる(社宅)の適正な家賃について考えます
を紹介します。
会社所有の建物を役員が社宅として借りる場合の適正な家賃の計算方法があります。
税務上、会社が月額賃貸料として徴収すべき適正な社宅金額の計算方法をご紹介します。
通常の賃貸料の計算は次のとおりです
役員に貸与する会社の社宅の賃貸料月額は、次の算式により計算した金額となります。
{その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外の家屋については10%)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12
この算式の注意点は次のとおりです。
①家屋が木造・非木造で相違します
「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいいます。
②会社が他から借りているケース
会社が他から借り受けて、役員に貸与した場合は、会が支払う賃借料の額の50%に相当する金額が上の算式により計算した金額を超えるときは、その50%に相当する金額を賃貸料の月額とします。
③家屋のみまたは敷地のみを貸しているケース
家屋だけまたは敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけまたは敷地だけについてこの計算をします。
小規模住宅に係る通常の賃貸料の計算は次のとおりです
貸与した家屋の床面積が132㎡(木造家屋以外の家屋については99㎡)以下であるものの通常の賃貸料の額は、次に掲げる算式により計算した金額となります。
その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2% + 12円 × 家屋総床面積(㎡)/3.3(㎡)+ その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%
この算式の注意点は次のとおりです。
①マンションの場合
2以上の世帯を収容する構造の家屋(マンションのこと)の床面積が132㎡または99㎡以下であるかどうかは、1世帯として使用する部分の床面積により判定します。
専用部分の床面積だけでなく、共用部分の床面積についても使用部分を適切に見積もって含めます。
②敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用されません。
豪華役員社宅に該当するかどうかの考え方とは
豪華役員社宅に該当するかどうかの判定は、家屋の床面積(公的使用に充てられる部分がある場合の部分を除く。)が240㎡を超えるものについて、住宅の取得価額、支払賃貸料の額、内外装その他の設備の状況を総合勘案して行います。
また、家屋の床面積が240平方メートル以下であっても、一般に貸与されているに住宅に設置されていないプールなどのような設備もしくは施設または役員個人の嗜等を著しく反映した設備等を有する住宅も豪華役員社宅とされます。
(出所:平成29年版 所得税基本通達逐条解説)
<参考> 所得税基本通達
36-40 役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算
36-41 小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算
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「知っておきたい法人節税策の基礎知識」の記事は次のとおりです。
[1] 会社名義で社宅を借りる
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[50] 「会社が役員からお金を借りる」同族関係者間の金銭貸借の税務ルール
[51] コロナによる業績が悪化または悪化が見込まれる場合の役員給与の減額
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[53] 会社の「役員借入金」は、役員(被相続人)の相続財産になります
[55] 役員の未払給与を支払わないことにした場合「未払給与の免除益」の特例
[56] 役員の未払給与を支払わないことにした場合、「源泉所得税」の取扱い
[57] 災害の場合の取引先に対する売掛債権などの免除の取扱い
同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
・「会社が、社長から高額で土地を買うと…」はこちら(1/3)
・「社長が、会社から低い価額で土地を買うと…」はこちら(1/10)
・「社長が、会社から時価より高い価額で土地を買うと…」とはこちら(1/17)
建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
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