役員の未払給与を支払わないこととした場合の「源泉所得税」の取扱い ~ 知っておきたい法人節税策の基礎知識[56]
木曜日は法人税の記事です。
今回は
役員の未払給与を支払わないことにした場合の「源泉所得税」の取扱いについて
です。
前回の記事では役員の未払給与について、次の取扱いを紹介しました。
未払給与の債務免除益は、原則として収益計上します。
しかし特例がありました。
つまり、役員の未払給与については次の要件に該当する場合は、益金不算入にすることができます
①未払給与のうち、法第34条第1項《役員給与の損金不算入》の規定により損金の額に算入されない給与に限ります。(たとえば、役員賞与など)
②取締役会等の決議に基づきその全部または大部分の金額を支払わないこととしたこと
③支払わないことが会社の整理、事業の再建および業況不振のためのものであること
④その支払われないこととなる金額がその支払を受ける金額に応じて計算されているなど一定の基準によって決定されたものであること
こうした特例適用の場合でも源泉徴収はしなければなりません
債務免除益に徴収される所得税額があるときは、その所得税額を控除した金額になります。
これは、次のような考え方によります。
■たとえば株主総会で役員賞与の支給が決定した場合、その段階で給与所得が発生したものとみなされます。
■その後、業績が悪化して、取締役会で一律に支払わないことを決定したとしても、その給与所得は消滅しませんので、源泉所得税は課税されます。
■債務免除を受けたときは、その賞与の支払いがあったものとして、源泉徴収がなされます。
しかし、源泉徴収をしなくてもよいケースがあります
たとえば、会社が破産手続き開始の決定を受けることなど特定の手続きが始まったケースです。
<参考>
所得税基本通達181~223共-3
役員が未払賞与等の受領を辞退した場合
「役員が、次に掲げるような特殊な事情の下において、一般債権者の損失を軽減するためその立場上やむなく、自己が役員となっている法人から受けるべき賞与等その他の源泉徴収の対象となるもので未払のものの受領を辞退した場合には、当該辞退により支払わないこととなった部分については、源泉徴収をしなくて差し支えない。」
(1)当該法人が特別清算開始の命令を受けたこと。
(2)当該法人が破産手続開始の決定を受けたこと。
(3)当該法人が再生手続開始の決定を受けたこと。
(4)当該法人が更生手続の開始決定を受けたこと。
(5)当該法人が事業不振のため会社整理の状態に陥り、債権者集会等の協議決定により債務の切捨てを行ったこと。
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同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
土地貸借の税務ルール
・「会社が、社長から土地を借りる」と税金の問題が発生します」はこちら(1/24)
・「会社が権利金を支払うケース」はこちら(1/31)
・「会社が相当の地代を支払うケース」はこちら(2/7)
・「権利金に代えて、相当の地代に満たない地代を支払うケース」はこちら(2/21)
・「無償返還に関する届出書を提出すると認定課税は行われません」はこちら(2/28)
土地売買の税務ルール
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・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が、社長から低額で土地を買うと税金の問題が発生します」はこちら(12/27)
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建物貸借の税務ルール
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