所有者不明土地への固定資産税を徴税しやすくする新しい仕組みとは ~ 空き家問題⑫
「空き家問題」と「空き地問題」。
これらの問題を踏まえて、令和2年度の税制改正の議論が続いています。
今回は
「登記情報からは誰のものかわからない所有者不明土地への固定資産税を徴税しやすくする仕組み」
を紹介します。
制度の詳細は、まだこれからです。12月中旬の税制改正大綱で明らかになります。
検討されている新しい制度とは(ざっくりと)
①登記とは別に、「現に所有者している者」の申告の制度化
所有者不明土地を減らすため、登記とは別に遺産相続などの相続人等に対して、市町村に申告するように義務づけます
②使用者への「みなし課税」
戸籍をたどっても所有者がわからないのに、親族などが土地を使っていた場合には、使用者に固定資産税を課税します。
制度の趣旨は
相続により所有者不明土地は増加しています。
たとえば、
「国交省の地籍調査では、全国の22.2%の土地が登記簿だけでは所有者がわかりません。そのうち、戸籍をたどっても所有者にたどりつかないケースが0.44%あります。(朝日新聞 19/11/27)」
そのため、課税庁(市町村)の固定資産税の課税において、従来から所有者情報の適正な把握が課題となっていました。その課題解消のための新しい仕組みづくりです。
「登記とは別に、現に所有者している者の申告の制度化」とは
納税義務者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、相続人等を「現に所有している者」として、氏名や住所を市町村に申告させる制度をつくります。
「使用者への『みなし課税』」とは
使用者がいるにもかかわらず、適正に登記されていない土地や建物について、市町村が調査しても所有者を特定できないケースがあります。
そうした所有者が明らかにならない土地や建物について、それらを使用している者がいる場合は、使用者を所有者とみなして課税することができるようにします。
被相続人が死亡した年に所有権移転登記をすれば、新たな登記名義人に固定資産税が課税されます。
しかし、所有権移転登記が行われていない場合は、次のように「現に所有している者」が納税義務者となります。
《参照》第343条 固定資産税の納税義務者
「(省略)この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第348条第1項の者が同日前に所有者でなくなっているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。」
今回の新しい仕組みは、課税の公平を踏まえた課税庁側の徴税制度の改正です。
徴税を円滑にするためのもので、現実に即した制度の改正だと思います。
今回のこうした固定資産税の徴税課題の解消のほかに
空き家問題を解決するためのひとつの手段として、国や市町村においては固定資産税の課税制度の見直しに、さらに取り組みことが必要だと考えます。
空き家問題
③ 家を取り壊しても固定資産税評価額がそのまま課税対象となるわけではありません
④ 空き家発生のメカニズムを押さえると空き家問題の対策が取りやすい
⑤ 空き家のコスト(管理費用など)は、そもそもどれぐらいかかるのか?
⑥ 毎年かかる住宅用土地の固定資産税は、どのように計算されているのか?
⑦ 固定資産税はどうやって計算されるのか?固定資産税の計算方法
⑨ 吹田市空家等対策計画(案)の「空家等対策の具体的な取り組み」
⑩ 吹田市空家等対策計画(案)「空家等を保有しながら固定資産税を払っても困らない」
⑪ 空き地売却で所得から最大「100万円を控除」する制度が新しくできるようです
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
冬の1日を元気にお過ごしください。
経営者には、事業を着実に成長させるために、決算書の会計データを計器盤として利用することをおすすめしています。とくに創業者には次のようなサービスを提供しています。
▶ 創業起業サポート 「創業者応援クラウド会計サービス」と「顧問相談クラウドサービス」
お伺いして、会計処理や税務の相談や提案などさせていただくサポートサービスを提供しています。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日はテーマを決めずに書いています
免責
ブログ記事は、投稿時点での税法等に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。