法改正で遺留分は原則として現金で支払うことになります ~ 相続法の改正で大きく変わります⑧
金曜日は、相続税や贈与税を記事にしています。40年ぶりに相続法が改正されています。
遺留分を「金銭債権化」することで、原則、金銭払いに変更されています
「遺留分の減殺請求」の名称は、「遺留分侵害額の請求」に改められています。
遺留分とは
相続人が最低限受け取ることのできる権利(財産)が遺留分です。
ただし、遺留分を有する相続人は、配偶者、子、直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合は次のように定められています
① 直系尊属のみが相続人であるときは、3分の1
② その他の場合は、2分の1
※ この場合の遺留分を総体的遺留分といいます。個別的遺留分は、総体的遺留分を法定相続分で配分した割合になります。相続人の組み合わせにより遺留分は相違します
変更の内容
■遺留分減殺請求権から生ずる権利を「金銭債権化」します。
■金銭を直ちには準備できない受遺者等の利益を図るため、受遺者等の請求により、裁判所が金銭債務の全部または一部の支払につき「相当の期限」を認めることができるようにします。
しかし、遺留分侵害額を請求された相続人に現金がなければ
相続した不動産を売却することで現金を用意することになります。
相続した不動産を売却する場合には
土地などの不動産の譲渡には、所得税と住民税が課されます。その税金分を見越してより広い土地などを売却しないと、支払う遺留分の現金を準備することができません。
その際、譲渡所得にかかる税金が発生します
譲渡所得の金額は次のように計算します。
売却代金-売却した土地の取得費-譲渡費用=譲渡所得の金額
ここで問題になるのは、土地の取得費です
売却した土地の取得費は、地価の安い昔に購入した土地であるほど、譲渡所得の金額(売却益)は大きくなります。
また、実際の土地の取得費が分からない場合は、売却代金の5%で計算して取得費とします。このケースが多いと思います。
ほとんどは、相続した土地の所有期間は5年超です
その際は、長期譲渡所得のケースになり、税率は、所得税15.315%、住民税5%になります。
つまり、売却益の約20%が税金としてキャッシュアウトします。注意します。
遺留分の金銭債権化にともなって、土地を譲渡する場合には譲渡所得にかかる税金分を含めて検討する必要があります。
《参照記事》
→ 遺留分とは?
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください。
相続法の改正で大きく変わります
・18歳から「大人」。成年年齢引き下げで変わる相続税・贈与税
・嫁でも介護などで遺産請求ができるように。「特別寄与料」の相続税の取扱い
・結婚20年以上の妻に自宅を「贈与」すると、遺産分割の対象外になります
これならわかる相続税
② 相続税がかかる財産。相続税のかかる財産の範囲を確認しましょう
⑤ 死亡保険金は相続財産になる?相続税がかかる場合と計算方法
⑦ 弔慰金を受け取ったとき、相続税がかかる場合とその計算方法
⑧ 企業年金など被相続人の死亡により取得する年金受給権。相続税の3つのポイント
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
⑮ 特定一般社団法人等の理事が亡くなった場合、法人に相続税が課税されます
⑳ 相続開始前3年以内の贈与財産の加算と贈与税額控除(暦年課税)
㉑ 「未成年者の税額控除」未成年者の相続で注意すべきポイント
㉒ 障害者税額控除
㉓ 10年以内に父と母が立て続けになくなったなど、連続で相続が発生した場合
㉔ 法定相続人の数は重要です。相続人の中に養子がいるときは注意です
㉕ 代償分割とは、遺産の現物分割が困難な場合に行われる方法です
㉙ 財産がいくら以上であるとかかるのか?いつまでに手続きをするのか?
㉛ 相続時精算課税は相続税のかからない方に有利な贈与税の制度です
㉟ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与の特例は併用できます
㊱ 相続時精算課税と住宅取得等資金の贈与特例の併用の際、家屋に居住できないとき
㊲ 消費税増税に伴い、住宅取得等資金贈与の非課税限度額が引き上げられています
㊳ 相続時精算課税選択後、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です
㊴ 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合、相続時精算課税選択届出書の提出
㊵ 年の中途に養子縁組で推定相続人または孫となった場合の相続時精算課税の適用
㊶ 養子縁組した養子の子(孫)は相続時精算課税を受けることとできますか?
㊸ 相続時精算課税を選択する場合の「相続時精算課税選択届出書」と添付書類
㊹ 受贈者が「相続時精算課税選択届出書」を提出する前に死亡した場合
㊺ 贈与者が贈与をした年に死亡した場合「贈与税・相続税の取扱い」の考え方
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
㉑ 遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります
⑭ 相続財産を公益法人などに寄附したとき相続税の対象としない特例があります
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
「相続税をわかりやすく!」の記事は
http://www.y-itax.com/category/souzoku/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成31年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
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