井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2019.10.22.Tue | 経理・会計

退職後のサラリーマンが健康保険を「任意継続」とするか?「国民健康保険」に切り替えるか? ~ 経理のキホン⑦

 

サラリーマンの方が退職すると退職後の健康保険について、手続きが必要になります。

 

医療保険では、おもに会社勤めの従業員と家族が加入する「健康保険(社会保険)」、自営業者などが加入する「国民健康保険」の2つがあります。

つまり、退職後、健康保険については

 

任意継続健康保険または国民健康保険に加入する手続きが必要になります

 

どちらが有利でしょうか?

「健康保険の任意継続」とは

 

事業所を退職などで被保険者の資格を喪失したときに、個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。

 

任意継続の保険料について

 

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。扶養家族の方の保険料はかかりません。

 

一方、国民健康保険の保険料は

 

前年の所得などに応じて決定されます。国民健康保険の世帯人員数に応じて決定されます。

保険料の減免制度があります。保険者は市町村です。

 

「健康保険」と「国民健康保険」との違いは

 

■扶養の有無

社会保険の健康保険では、配偶者や親などの親族を扶養に入れることができます。被扶養者が複数人いても被保険者の健康保険料は変わりません。

一方、国民健康保険では、扶養の考え方はありません

 

■被保険者が負担する保険料

健康保険の場合、被保険者本人の年齢や収入を基準として保険料を計算します。保険料の支払いは被保険者だけでなく、事業所と折半になります。

一方、国民健康保険の場合は、各世帯の加入者、収入、年齢を基準として保険料を計算します。

 

先日、退職予定のサラリーマンの方から、

退職後の健康保険を「任意継続」とするか「国民健康保険」とするか?どちらが有利か

のご質問を受けました

 

令和2年3月に夫(57歳)が会社を退職予定。妻(55歳)は自営業者です。

各々の前年の所得は次のとおりです。

 

夫:給与収入5,000千円(給与所得3,460千円)

妻:事業収入8,000千円(事業所得3,400千円)ただし、開業2年目

開業1年目の青色繰越損失▲5,000千円あり。国民健康保険に加入。

 

A 夫が健康保険の任意継続を選択するケース

夫:保険料 35,760円/月×12月=429,120円

妻:国民健康保険料 9,000円/月×12月=108,000円

合計 537,120円

 

B夫が国民健康保険に加入するケース

夫・妻(世帯) 49,371円/月×12月=592,462円

(吹田市の国民健康保険料率で計算)

 

このケースでは夫が「健康保険の任意継続」を選択した方が有利となります。

 

しかし、すべての場合において任意継続のほうが有利なわけではありません。場合によっては、国民健康保険にしたほうが、保険料が安くなることもあります。ケースバイケースだと思います。

慎重に検討されることをおすすめします。

 

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