「相続財産から差し引くことができる債務」3つのポイント ~ これならわかる相続税⑨
金曜日は相続税をわかりやすく!
今回は相続財産から控除できる債務を紹介します。
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます
※ 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産がある場合には、その価額を加算します。
遺産総額から差し引くことができる債務にはルールがあります
①そもそも、差し引くことができる「債務」とは次のようなもの
■確実と認められるもの
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。
■被相続人の所得税なども債務になります
しかし、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付または徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの※であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
※ 相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。
■しかし、次の延滞税や加算税は債務になりません
相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
②債務ではありませんが、葬式費用は差し引くことができます
葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。
③遺産総額から差し引くことができない債務とは
■非課税財産に関する債務
被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできません。
誰でも、債務や葬式費用を遺産総額から差し引くことができるわけではありません
債務などを差し引くことのできる人は、次の①または②に掲げる者で、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者※です。
※ 相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含みます。
①相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人
ただし、一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。
②相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がない人で、次のいずれかに当てはまる人
(イ)日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人
(ロ)日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除きます)。
(ハ)日本国籍を有していない人(被相続人が、一時居住被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます)。
一時居住者、一時居住被相続人、非居住被相続人、非居住外国人の意味は、後日紹介します。
包括受遺者とは、遺言により遺産の全部または何分のいくつというように遺産の全体に対する割合で財産を与えられた人のことをいいます。
なお、相続人や包括受遺者であっても、①または②に該当しない人は、遺産総額から控除できる債務の範囲が限られ、葬式費用も控除することはできません。
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これならわかる相続税
② 相続税がかかる財産。相続税のかかる財産の範囲を確認しましょう
⑤ 死亡保険金は相続財産になる?相続税がかかる場合と計算方法
⑦ 弔慰金を受け取ったとき、相続税がかかる場合とその計算方法
⑧ 企業年金など被相続人の死亡により取得する年金受給権。相続税の3つのポイント
相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
⑰ 長期間結婚している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護
㉑ 遺言よりも登記を優先。銀行など第三者が貸付金を回収しやすくなります
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
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・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識」
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