相続税の納税猶予制度の4つのポイント ~ 「新事業承継税制」特例のポイント解説㉜
水曜日は「新事業承継税制」をわかりやすく紹介しています。
(出所:国税庁リーフレット)
制度はかなりボリュームがあります。
今回は「相続税の納税猶予制度の特例(=新事業承継)」の4つのポイントを紹介します。
制度は、ザックリとは次のイメージです。
(出所:中小企業庁経営承継円滑法申請マニュアル)
■適用となる対象株式は
株式保有者から後継者が相続により取得した自社の議決権株式の全部です。
■納税猶予額は
適用対象株式の相続税の全額です。
ただし、会社が保有する外国会社等の株式等に相当する部分は除きます。
①10年間の時限措置です
事業承継税制は、現行制度と特例制度(=新事業承継税制:10年間の時限措置)の2つになっています。
②適用を受けるには「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります
2018年4月1日から2023年3月31日(5年間)までに、都道府県に「特例承継計画」を提出する必要があります。
③2027年12月末までに行われる相続について特例制度を受けることができます
④「相続税の納税猶予制度」の特例(= 新事業承継税制)で新設された事項
■対象株数が総議決権数の2/3から全株式が対象となります。
■納税猶予割合を80%から100%に引き上げます。
■後継者を3人にまで対象にできます。
■特例承継期間の雇用確保用件(5年間平均で80%)は、柔軟に適用されます。
■経営環境の悪化による場合に「減免措置」が新設されています。
■相続時精算課税の適用対象者を拡充しています。
贈与者 = 60歳以上の個人
受贈者 = 後継者
特例のポイントをまとめるとつぎのとおりです。
(出所:中小企業庁経営承継円滑法申請マニュアル)
贈与税の納税猶予と相続税の納税猶予をリンクさせます
たとえば贈与税の納税猶予中に贈与者が死亡した場合
贈与者が死亡した場合には、猶予されていた贈与税は免除された上で、贈与を受けた株式等を贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます(贈与時の価額で計算します)。
その際、都道府県知事の確認(以下「切替確認」といいます。)を受けることで、相続税の納税猶予を受けることができます。
図解にすると次のような取り組みになります。
(出所:中小企業庁経営承継円滑法申請マニュアル)
参考記事
▶ 後継者が第三者(親族外)の場合、みなし相続時の申告時など注意が必要です。
事業承継の税制は複雑です。
適用に当たっては将来の影響をふまえて、十分に時間をかけて検討されることをおすすめします。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
秋の1日を元気にお過ごしください。
認定経営革新等支援機関として、特例承継計画の申請等を支援しております。
事業承継や相続に関して相談サービスを提供しています。
「新事業承継税制」特例のポイント解説
③ 非上場株式等の贈与税等の納税猶予及び免除~新旧制度の比較
⑤ 非上場株式等の贈与税の納税猶予を受けるための手続(その2)~贈与税申告の後
⑧ 新事業承継税制は中小企業の株式を贈与相続により移転する際に活用します。
⑨ 新事業承継税制の利用により、いくら相続税が猶予・免税になるのか?
⑩ 贈与税の納税猶予からはじめた場合の「新事業承継税制の全体像イメージ」
⑪ 贈与税の納税猶予からスタートした場合に先代経営者に相続が発生した時の取扱い
⑰ 代表権がない先代経営者の配偶者が適用を受けられないケース
⑱ 先代経営者が持株会社の代表権を有したことがなかったケース
㉕ 子会社が上場企業や風俗営業会社等の場合は適用を受けられません
㉘ 猶予が打ち切りとなった場合、猶予額に併せて利子税を納付しなければなりません
㉙ 雇用確保要件を維持できなかったとしても納税猶予が継続できます
事業承継・税理士の視点
④ 「誰に事業を承継させるのか?」~親族内承継、従業員承継、M&A
「同族会社とその役員間の税務ルール」を紹介しています。
http://www.y-itax.com/category/houjin/
あてはまる事例を参考にしてくださいね。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制」特例のポイント解説
・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】」
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・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
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