井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.11.11.Sun | 税金(贈与)

相続時精算課税の具体的な税額の計算と3つのポイント ~ 贈与税をわかりやすく㉒

 

日曜日は〝贈与税をわかりやすく〟です。

父母・祖父母から子・孫の贈与については、「相続時精算課税」を選択することができます。

 

相続時精算課税を選択した場合の贈与税の計算を具体例で説明します

次のとおりです。

 

たとえば、

父親および母親から生前贈与を受けて

父親からの贈与は、相続時精算課税を選択する場合

 

【1年目 】

父親から1,000万円、母親から400万円の贈与を受けます。

父親からの贈与については、相続時精算課税を選択します。

 

①父親からの贈与の考え方

 

課税される金額の計算は次のとおりです。特別控除額2,500万円のうち1,000万円を控除します。

1,000万円 - 1,000万円(特別控除額) = 0(課税価格)→ 贈与税はかかりません

 

※ 翌年以降に繰り越される特別控除額の計算をします。1,500万円です。

2,500万円 - 1,000万円 = 1,500万円(翌年繰越の特別控除額)

 

②母親からの贈与の考え方

 

母親からの贈与については、相続時精算課税を選択していません。

暦年課税を選択します。

 

ア 2,500万円の特別控除額ではなく、110万円の基礎控除額を受贈額より控除します。

400万円 - 110万円(基礎控除額) = 290万円

 

イ 贈与税額の計算

290万円 × 15% - 10万円 = 33.5万円 (贈与税)

 

【2年目】

たとえば、父親から1,000万円の贈与を受けるとします

 

ア 課税される金額の計算は次のとおりです

1,000万円 - 1,000万円(特別控除額) = 0(課税価格)→ 贈与税はかかりません

※ 翌年以降に繰り越される特別控除額の計算をします。500万円です。

1,500万円 - 1,000万円 = 500万円(翌年繰越の特別控除額)

 

【3年目】

たとえば、父親から1,000万円の贈与を受けるとします

 

ア 課税される金額の計算は次のとおりで

1,000万円 - 500万円(特別控除額) = 500万円(課税価格)

イ 贈与税額の計算は次のとおりです

500万円 × 20% = 100万円(贈与税額)

 

相続時精算課税の3つのポイント

 

①相続時精算課税を選択した場合、その後の撤回はできません。

②贈与税の期限内申告が必要です。

③相続時精算課税を選択した場合、その選択に係る贈与者(この例では父親)が死亡したときの相続税の課税価格に、その贈与者から贈与により取得した財産の贈与時の価額を加算します。

この例では、父親から贈与を受けた財産の合計額3,000万円を、父親が死亡したときの相続税の課税価格に加算することとなります。

 

相続時精算課税のしくみを図解しますと次のとおりです

 

図解でも複雑になります。先の例と贈与財産の金額は違います。

 

 

 (出所:国税庁リーフレット)

相続時精算課税は次のようなメリットがあります。

相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です

 

 

Every day is a new day!

今日も秋の1日を朗らかにお過ごしください。

 

 

【編集後記】

画像は、あいにく、私の子供ではありません(笑)。孫でもありません。

今年生まれた姪のこども。「一紗」です。表情がだんだん豊かになっていきます。

 

 

贈与税や将来の相続の問題のご相談をお伺いしております。

問題をお伺いしたうえで、税務の専門家として、丁寧にアドバイスさせていただきます。

▶ 贈与税サポートプランなど

 

贈与税をわかりやすく

① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります

② 贈与税は、贈与を受けたすべての財産に対してかかります。

③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります

④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です

⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい

 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります

⑦ 親から金銭を借りた場合、贈与税がかかります

 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税

⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります

⑩ 債務免除などを受けた3つのケース。贈与税がかかります

⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません

⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの

⑬ 親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑭ 無償で借り受けた土地を贈与により取得したとき

⑮ 親の借地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと

⑯ 父親名義の建物に子どもが増築したとき、贈与税が課税されます

⑰ 親名義の建物に子どもが増築したとき、増築前の家屋の名義を子どもに変更する

 「生命保険契約」個人から個人への契約者変更

 生命保険契約の満期保険金を受け取ったら税金はどうなる

 相続時精算課税は、贈与財産の種類・金額・贈与回数を問いません

 精算課税か暦年課税かは、もらった人が選択します

 

贈与税で誤りやすい事例

① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?

② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?    

③ 父親の借地に、子供の私が自宅を建てました。何か問題は?   

④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました

⑤ 無償返還予定の土地の贈与を受けました。宅地の評価は

 

毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと

⑥ 気をつけることは?

⑦ 贈与契約書が必要です

⑧ その資金はこどもや孫の預金通帳に振り込みましょう

⑨ 通帳の管理はこどもや孫にまかせましょう

⑩ もらったお金を、こどもや孫は自由に使えていますか?

⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして

⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか

 

贈与税を中心とした「マイホームの税金」に関するブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

・月曜日は開業の基礎知識~創業者のクラウド会計

・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」

・水曜日は新事業承継税制特例のポイント解説

・木曜日は法人節税策の基礎知識【創業者向け】

・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」

・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」

・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」

 

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