相続時精算課税は、贈与財産の種類・金額・贈与回数を問いません ~ 贈与税をわかりやすく⑳
日曜日は〝贈与税をわかりやすく〟です。
親子間の贈与については、照会をよくうけます。その際に忘れてならないのが「相続時精算課税」の説明です。しかし、相続税の仕組みと結びついているため、なかなか理解していただくのが難しいときがあります。
専門家でない方でも、相続時精算課税制度の仕組みがすっきりわかるように解説したいと思います。
「相続時」とありますが贈与税の制度です
60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
選択すると後戻りできません
この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降はすべてこの制度が適用されます。
つまり、通常の「暦年課税」へ変更することはできません。
「相続時精算課税」は贈与税の制度ですが、相続税とリンクしています
贈与者である父母または祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。
・ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です
適用対象者に注意します
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人または孫です。
《参考》「新事業承継税制」においては推定相続人以外でもOKです(平成30年度改正)
贈与により「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用にかかる非上場株式等を取得する場合、贈与者が贈与をした年の1月1日において60歳以上であれば、受贈者が贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人以外の者(贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者に限ります。)でも適用できます。
・ 後継者が第三者(親族外)の場合、みなし相続時の申告時など注意が必要です
適用対象財産等(ここがポイントです)
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
平成27年分から贈与者も受贈者も改正されています
(出所:国税庁資料)
慎重に検討して利用すれば、使い勝手がよい制度だと思います。
Every day is a new day!
今日も秋の1日を元気にお過ごしください。
贈与税や将来の相続の問題のご相談をお伺いしております。
問題をお伺いしたうえで、税務の専門家として、丁寧にアドバイスさせていただきます。
贈与税をわかりやすく
① 贈与税がかかる場合~親子間、夫婦間でも贈与税はかかります。
③ 贈与する前にいったいどれくらいの贈与税がかかるのか知っておく必要があります。
④ 相続時精算課税は相続税のかからない親の場合にはベストな贈与です。
⑤ 共働きの夫婦が住宅購入した場合、購入資金の負担割合で所有権登記をして下さい。
⑥ 離婚して財産をもらったとき、贈与税がかかる場合があります。
⑧ 贈与税がかかる生命保険金、もらったつもりがないのにかかる贈与税。
⑨ 親族間で低額で土地を譲り受けたとき、贈与税がかかります。
⑪ 借金付きの贈与は、やってはいけないし、もらってもいけません。
⑫ 贈与税の申告と納付はどうやるの?払うのは誰?いつ払うの?
⑬ 親の土地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと
⑮ 親の借地に子どもが家を建てたときに知っておきたい税金のこと
⑯ 父親名義の建物に子どもが増築したとき、贈与税が課税されます
⑰ 親名義の建物に子どもが増築したとき、増築前の家屋の名義を子どもに変更する
贈与税で誤りやすい事例
① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?
② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?
④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました。
毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと
⑦ 贈与契約書が必要です。
⑪ 贈与税の申告は必要ありませんが、トラブルを生じさせない取扱いとして。
⑫ 親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合~住宅ローン控除は使えませんか?
贈与税を中心とした「マイホームの税金」に関するブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~創業者のクラウド会計」
・火曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「新事業承継税制特例のポイント解説」
・木曜日は「法人節税策の基礎知識【創業者向け】」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。