義父母の介護が報われます。「特別寄与料の請求権」の新設~相続税をわかりやすく㉒
金曜日は相続税をわかりやすく。
民法(相続法)が改正され、「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」
特別寄与料の請求権が創設されています
相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件の下で、相続人に対して金銭請求をすることができるようになりました。
現行制度の問題点は
相続人以外の者は、被相続人の介護に尽くしても、相続財産を取得することができませんでした
たとえば
長男の妻は、長期間にわたって義理の父親の介護していました
■義理の父親が死亡した場合、相続人(長女・次男)は、被相続人の介護を全く行っていなかったとしても、相続財産を取得することができます。
■しかし、長男の妻は、どんなに被相続人の介護に尽くしても、相続人ではないため、被相続人の死亡に際し、相続財産の分配にあずかれませんでした。
そこで、介護等の貢献に報い実質的な公平を図るため
相続開始後、長男の妻は、相続人(長女・次男)に対して、金銭の請求をすることができるようにしました
遺産分割の手続が過度に複雑にならないように,遺産分割は,現行法と同様,相続人(長女・次男)だけで行うこととしましたが、相続人に対する金銭請求を認めることとしたものです。
特別寄与料を請求できるのは
被相続人の相続人でない親族です。親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内親族を指しますので、事例の長男の妻は「相続人でない親族」になります。
したがって、義父の介護の貢献分を請求することができます。
(出所:法務省資料)
請求者を被相続人の親族に限定した結果
事実婚や同姓カップルのパートナーは請求権者から外れます。残念ながら特別寄与料を請求することはできません。
こうした場合は遺言を利用して、自身の財産の全部や一部を遺贈することになります。
今回の改正により、遺言についても、自筆証書遺言の方式の緩和、自筆遺言の法務局の保管制度の新設など見直しがされています。
しかし、介護で貢献すれば寄与分を必ずもらえるかどうかは?
請求すれば金銭を受け取れるとはかぎりませんのでご注意ください。
寄与が認められるには、「被相続人の財産の維持または増加について貢献(寄与)」という要件を充たす必要があります。
通常の療養看護・介護では寄与分は認められません
次のような考え方をします
「寄与分については誤解されやすいのは、被相続人の療養看護です。親を療養し看護することは、相当の負担を伴うことがありますが、親子は互いに扶養する義務がありますから、通常の看護は特別の寄与とはいえません。」
「寄与分は『通常の寄与』ではなく、『特別の寄与』があった場合にのみ認められます。ただ、両者の明確な区分基準はありませんから、結局は他の相続人との比較で決めざるを得ないでしょう。」
(「七訂版 民法・税法による遺産分割の手続と相続税実務」小池正明、税務研究会出版局)
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秋の1日を元気にお過ごしください!
【編集後記】
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相続税をわかりやすく!
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