「遺言書を作成しようと思っています。遺言と一緒に遺言執行者を定めておく必要がありますか?」~相続税をわかりやすく⑬
金曜日は相続税をわかりやすく紹介しています。13回目です。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために指定または選任された人です。
遺言執行者は必ず必要なわけではありません。
遺言の内容によって、誰かが手続きして執行することが必要な場合と執行手続が不要の場合があります。
遺言執行者を必ず置かなければいけないのは、次の場合だけです
①子を認知するとき
②相続人の廃除・その取り消しをするとき
これらの場合は、利益が対立する相続人に、こうした手続きを期待できません。したがって、遺言執行者を置くよう明文で定められています。
遺言執行者を必ず置く必要がある場合を除き、遺言執行者については実務的には遺言書作成の時に士業の方に相談されるのがよいと思います。
遺言執行者は、具体的には次のような業務を行います
公正証書遺言は検認不要ですが、自筆証書遺言は家庭裁判所で検認が必要です。その検認が終われば、遺言の内容を実行することになります。
遺言の内容を実行するために、指定または選任された者が遺言執行者です。
①遺言執行者の就任を通知します。
②遺産の管理をします(預金通帳などを預かる)。
③財産目録の作成、相続人に目録を交付します。
④不動産の登記等(所有権移転、預貯金の払い戻しなど)をします。
遺言執行者になれる人とは
遺言執行者の選任は、遺言書で指定する場合と家庭裁判所が選任する場合があります。
ほとんどのケースでは、被相続人(遺言書を作成する人)が遺言書の中で指定します。
遺言執行者になるには資格の制限はありません。ただし、未成年者と破産者は遺言執行者になれません(法人も可能とされています)。
相続人も受遺者も、遺言執行者になれますが、利害が対立することがあります。
「遺言」と異なる内容の遺産分割をする際には
遺言で遺言執行者が選任されている場合には、遺言執行者の同意が必要となります。遺言執行者は、遺言どおりに遺産の名義書換を行う義務があるからです。
また、相続人以外の人が遺言で財産をもらえる(遺贈)と指定されている場合は、その受贈者の同意が必要になります。
「遺言」に不動産の遺贈がある場合は、遺言執行者の指定は効果的です
「土地と建物をA(相続人以外の人)に遺贈する」というような不動産を遺贈する場合は、遺言執行者がいなければ、相続人全員が登記義務者となって登記申請をしなければなりません。つまり、Aの遺贈登記のために相続人全員の署名押印が必要になります。
しかし、遺言執行者がいる場合は、遺贈を受けた人と遺言執行者が共同で登記申請をおこなうことができます。そのため、相続人以外の人に対して遺贈をする際には、遺言執行者の指定をおこなっておくことをおすすめします。
相続対策は「事前の準備、事後の百策に勝る」で、お願いします。
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相続税をわかりやすく!
② 遺産の分割が決まらないときでも、相続税の申告期限が延びることはありません。
③ 亡くなった方が遺言を残していなかった場合は、遺産分割協議書を作成します。
⑩ 払いすぎた相続税を取り戻す手続き。「更正の請求」のポイント。
⑪ 子どもがいる人が再婚したとき、連れ子は遺産を受け取る権利はありません。
金曜日は「相続税をわかりやすく!」を紹介しています。
争族を避けるための基礎知識、相続の権利でよく出てくる問題、節税の三原則などをお伝えしています。
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