医療対応の強化。肺炎、尿路感染症、帯状疱疹を対象に所定疾患施設療養費Ⅱの新設~平成30年度介護報酬改定 介護老人保健施設⑤
平成30年度介護報酬改定の重要な改定事項を、カテゴリー別にご紹介しています。
介護老人保健施設サービスの5回目です。
施設の役割
介護老人保健施設は、医療面と福祉面のサービスを一体として提供し、入院治療後に家庭・社会復帰できるようにすることを目的に、医療機関と特別養護老人ホームの長所を兼ね備えた中間施設として創設された医療提供施設です。
介護老健保健施設の沿革は次のとおり。
既に平成24年度において「所定疾患施設療養費」で評価
平成24年度介護報酬改定においては、退所先に医療機関が多かったことから、入所者の医療ニー ズに適切に対応する観点から、肺炎や尿路感染症などの疾病を発症した場合の施設内での対応を評価することとし、所定疾患施設療養費を新設していました。
しかし、次の課題が残っていました
■その後も、主な退所先が依然として医療機関となっている利用者や、肺炎や尿路感染症を強く疑う状態の利用者に対して、原則、施設内で治療しないことを対応方針とする施設が一定程度存在していました。
■所定疾患施設療養費について、介護老人保健施設で行うことができない専門的な検査が必要な場合には医療機関と連携する等、診断プロセスに係る手間に応じた評価を必要があります。
■専門的な診断等のために医療機関に1週間以内の短期間入院を行う入所者であっても、制度上は退所として扱われますが、介護老人保健施設で行われる医療として必要なものであることから、在宅復帰率等の算定に配慮する必要があります。
これらの課題解消のため「所定疾患施設療養費Ⅱ」を新設しました
医療対応を強化する観点から、所定疾患施設診療費に上位ランクのⅡが新設されました。
算定要件等は次のとおりです。
①診断及び診断に至った根拠、診断を行った日、実施した投薬、検査、注射、処置の内容等を診療録に記載していること(協力医療機関等と連携して行った検査等を含む)。
②所定疾患施設療養費の算定開始年度の翌年度以降において、当該施設の前年度における当該入所者に対する投薬、検査、注射、処置等の実施状況を公表していること。
③医師が感染症対策に関する研修を受講していること。
※ 介護給付費明細書の摘要欄に診療内容を記載することも必要となります。
単位数は次のとおりです
肺炎、尿路感染症、帯状疱疹を発症するケースは多く、施設の役割を踏まえた見直しです。
(出所:図はいずれも介護保険給付分科会資料)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
今日も初夏の1日を元気にお過ごしください。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬改定」として記事を紹介しています。
ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
平成30年度「介護老人保健施設」の介護報酬改定は、次のとおりです。
① 類型が大きく見直されました。在宅復帰・在宅療養支援等指標が導入。
② 介護老人保健施設の役割は在宅復帰・在宅療養支援。基本報酬体系が大幅に見直し
③ 在宅復帰率が低くても在宅復帰・在宅療養支援機能加算Ⅰを算定し「加算型」で増収
平成30年度「訪問看護」介護報酬改定の重要事項は次のとおり。
① 基本報酬の見直しで要支援者向けの報酬体系を新設。リハビリ職の訪問が報酬減。
② 訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直し
③ 中重度者対応やターミナルケア促進するため看取りや24時間対応を評価します
④ 複数名訪問加算〝複数名による訪問看護に係る加算の実施者の見直し〟
平成30年度「居宅介護支援」介護報酬改定の重要事項は次のとおり。
② 入院時情報連携加算(Ⅰ:月200単位、Ⅱ:月100単位)の見直し
③ ケアプラン初回作成の手間が評価された退院・退所加算の見直し
⑤ 改定の目玉 医療・介護連携を促進する観点で新設された特定事業所加算Ⅳ
⑥ 主任ケアマネジャーであることを管理者要件とする管理要件の見直し
平成30年度「訪問介護サービス」介護報酬改定の重要事項は次のとおり。
⑥ 訪問回数の多いケアプランは市町村に提出し、地域ケア会議で検討を義務付け。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「平成30年度介護報酬改定の重要事項」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税ついてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税をわかりやすく!」