「非上場株式等の贈与税の納税猶予を受けるための手続(その1)贈与税の申告まで」~新事業承継税制④
水曜日は、税理士の視点から事業承継を記事にしています。
納税猶予割合が100%となる新事業承継税制とはどのようなものかを紹介しています。
今回は、贈与税の納税猶予の手続き
「非上場株式等の贈与税の納税猶予を受けるための手続(その1)贈与税の申告まで」
です。
新事業承継税制の4回目です。
対象となるのは非上場株式等です
中小企業者である非上場会社の株式又は出資(医療法人の出資は含まれません。)をいいます。そして、制度の対象となる非上場株式等は、議決権に制限のないものに限ります。
贈与税の申告までの、納税猶予を受けるための手続きは次のとおりです。
1 「特例承継計画」の策定・提出・確認が必要です。都道府県庁に提出します。
会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関の所見を記載の上、平成35年(2023年)3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受けることが必要になります
※ 平成35年(2023年)3月31日までの贈与については、贈与後に承継計画を提出することも可能です。
2 贈与の実行
先代経営者等である贈与者から、全部又は一定数以上の非上場株式等の贈与を受けます。
3 認定申請(都道府県知事の円滑化法の認定を受けます)
会社の要件、後継者(受贈者)の要件、先代経営者(贈与者)の要件を満たしていることにについて、都道府県知事の円滑化法に認定を受ける必要があります。
認定申請書類の提出期限は、贈与を受けた年の10月15日から翌年の1月15日までに認定申請書を提出する必要があります。
4 税務署へ申告(贈与税の申告書を作成して、提出する)
贈与税の申告期限までに、この制度の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書及び一定の書類(確認書・認定書等)を税務署へ提出するとともに、納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。
贈与税の申告までのタイムスケジュールは次のとおり
(出所:中小企業庁HP)
ようするに、納税猶予を受けるためには、次の手続きが必要になります。
①承認計画の策定 → ②贈与の実行 → ③認定申請 → ④税務署へ申告
この手続きの中で、贈与税の申告まで円滑化法による都道府県知事の関与が出てくるところに特徴がありますね。
贈与税の申告を終えた後の5年間についても、手続きが必要です。それを次回に紹介します。
納税猶予を受けるための手続きは、かなり煩雑です。しかし、贈与税の納税猶予を受け、その間に円滑に事業承継が行うことができるのであれば、メリットがあります。この制度の活用の検討をおすすめします。
認定経営革新等支援機関として「特例承継計画」の作成などの支援しております。
「将来、承継をどうすればよいのか?」を検討されている経営者の方は、一度、ご相談ください。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
新事業承継税制
・① 平成30年1月1日からの贈与・相続について適用されます
・③ 非上場株式等の贈与税等の納税猶予及び免除~新旧制度の比較
事業承継・税理士の視点
・①「相続と事業承継の相違はそもそも何か?」はこちら(3/7)
・②「事業承継に公的支援がされるのはなぜか?」はこちら(3/14)
・③「堀金箔粉~京都老舗の事業承継のルール」とはこちら(3/28)
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