認知症横断プロジェクト談話会第30回(ファイナル)「効果的な足部・足爪ケアなくして歩行機能の改善はありません。そして、効果的な歩行機能の改善なくしてアクティビティ向上はありません」山下和彦教授
先日、世話人が大阪大学産学共創本部と山川みやえ先生(大阪大学医学系研究科保健学専攻)ら主催されている認知症の勉強会に参加しました。この認知症横断プロジェクトは、今回で最終回です。
いつも、勉強会は講師(スピーカー)が取り組まれている研究や発表されるテーマの間口は広く、普通に暮らしていては、いつも思いつかない考え方や感じ方を触発する内容です。
会の進行は、講師が1時間ほど、取り組まれている認知症関連の話題を提供され、その後、質疑応答を含めーディスカッションを行います。オープンな会でいろんな方を参加されています。
今回は
「超高齢社会における歩行の重要性と支援技術」です。
~効果的な足部・足爪ケアなくして歩行機能の改善はなく、効果的な歩行機能の改善なくしてアクティビティ向上はない~
講師は、山下和彦(大阪大学医学系研究科 特任教授)さんです。
山下先生は、医用システムや転倒予防・介護予防などのリハビリテーション科学・福祉工学を研究されるとともに、現在は糖尿病スクリーニングと高齢者転倒リスク評価のための足底感覚検査装置の有効性の研究などに取り組まれています。
話の中から、私が重要だと考えたことをランダムにお伝えします。
①(超高齢社会の課題)
□ 慢性疾患(高血圧症1,010万人、脂質異常症206万人、糖尿病1,000万人)の重複と関節疾患(2,570万人)および加齢による複合的な疾患が原因で、フレイルの増加が課題です。
□ 外来医療費の占める疾患は、ⅰ糖尿病、ⅱ高血圧、ⅲうつ病、が上位。これらに対する共通する対策因子は、「歩行機能向上、足の機能向上(切断予防を含む)、日中の活動度の向上、教育」です。
②(中高年の健康寿命を延伸するには、いつまでも元気に歩けることが最重要。そのためには?)
ⅰ 下肢筋力・歩行機能・バランス機能を向上させ、転倒予防を図ることが重要です。そうすることにより、活動度を向上させ将来の医療費の上昇を予防することができます。
ⅱ 楽しく快適に歩くためには、足部と足爪のケアが大切です。
ⅲ ただ歩くだけでなく、歩き方や社会参加の面から、歩行機能を積極的に高める方法を教えて実行することが必要です。
③(6割以上の高齢者の足部・足爪に変形などの異常があります)
④(転倒は骨折の主要因)
ⅰ 70歳を超え、75歳ごろから急激に転倒発生率が上昇します。65歳を超えたら、転倒骨折の予防が、慢性疾患対策とともに重要になります。
ⅱ 転倒に関連する因子は、上位の順に、年齢80歳以上、女性、移動障害、バランス能力、歩行能力、下肢筋力、歩幅、握力の低下などです。
⑤(歩行を阻害し、フレイルにつながる足部・足爪の問題)
ⅰ 糖尿病などは足病変のリスクが大きく、本人やヘルパーなどフットケアの理解が必要です(歩く機能を維持し積極的に歩くことが必要です)。
ⅱ 子供のころから、外反母趾などリスクを抱えています。
⑥(フットケア事業に取り組む)
ⅰ 膝間計測器、足指力計測器などで下肢筋力の定量的評価や靴型歩行機能計測システムで歩行・バランス機能を解析することができます。
ⅱ 足部に問題があることで下肢筋力は3割低下し、転倒リスクが上昇します。
ⅲ 足と爪のセルフケアを指導するメディカルフットケアJF協会との連携に取り組んでいます。
ⅳ 志木市で「健康寿命のばしマッスルプロジェクト」に取り組んでいます。その結果、下肢筋力(足指力)の向上などを通じ、国保医療費への効果が生じています。
http://shiki-iroha-health-point.com/
山下教授は、高齢社会の戦略のひとつとして
「足部・足爪のケアにより、歩行機能の向上を図り、それが生活機能向上と心と体を改善させることを通じて、社会活動に参加につながる」と。
“アシモト”から考えることが大切だと。
スピーカーの山下和彦先生、紹介者の山川みやえ先生、ありがとうございました。
くわえて、大阪大学共創機構産学共創本部の鈴木径一郎先生。
長期間にわたるプロジェクトの案内手続きや会場準備などありがとうございました。おかげでさまで、参加者は有意義な時間を過ごせ、楽しく会話・会食することができました。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」として記事を紹介しています。
平成30年度介護報酬改定の動向
通所介護の改定見直しの主な論点
・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(3/13)
・論点②「心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設とは何か?」はこちら(3/15)
訪問介護の改定見直しの主な論点
・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(2/6)
・論点②「自立生活支援のための見守り的援助の明確化とは何か?」はこちら(2/8)
・論点③「身体介護と生活援助の報酬の見直しとは何か?」はこちら(2/13)
・論点④「生活援助中心型の担い手の拡大とは何か?」はこちら(2/15)
・論点⑤「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/22)
・論点⑥「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(2/27)
・論点⑦「サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化とは何か」はこちら(3/1)
・論点⑧「共生型訪問介護とは何か?」はこちら(3/6)
・論点⑨「介護職員処遇改善加算の見直しとは何か?」はこちら(3/8)
訪問看護の改定見直しの主な論点
・論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」はこちら(1/16)
・論点②「ターミナルケアの充実とは何か?」はこちら(1/18)
・論点③「複数名訪問加算の創設とは何か?」はこちら(1/23)
・論点④「訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直しとは何か?」はこちら(1/25)
・論点⑤「報酬体系の見直しとは何か?~基本サービス費を要支援者・要介護者で別立て」はこちら(1/30)
・論点⑥「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/1)
居宅介護支援の改定見直しの論点
・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)
・論点②「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)
・論点③「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(1/2)
・論点④「医療と介護の連携強化とは何か?」はこちら(1/4)
・論点⑤「末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントとは何か?」はこちら(1/9)
・論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」はこちら(1/11)
有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について
・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税をわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
・日曜日は「贈与税で誤りやすい事例」