井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.03.08.Thu | 介護事業

平成30年度介護報酬改定の動向~訪問介護の論点⑨「介護職員処遇改善加算の見直しとは何か?」

介護報酬改定に係る「訪問介護」の主な論点をご紹介します。

見直しの論点は次のとおりです。(出所:平成30年1月26日第158回介護給付費分科会)

 

「訪問介護」の見直しの主な論点

① 生活機能向上連携加算の見直し

② 「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化

③ 身体介護と生活援助の報酬の見直し

④ 生活援助中心型の担い手の拡大

⑤ 同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬の見直し(訪問系サービス共通)

⑥ 訪問回数の多い利用者への対応

⑦ サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

⑧ 共生型訪問介護

 介護職員処遇改善加算の見直し

 

今回は

「介護職員処遇改善加算の見直しとは何か?」

です。

 

分科会では次のような意見がありました。

(平成29年11月29日第153回介護給付費分科会)

 

①(介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)について)

□ 減算された単位数とはいえ、要件の一部を満たさない事業者への加算であり、取得率も0.8%ずつと極めて低く、これまではある意味では猶予期間であったとも言えることから、さらに経過措置を設けた上で廃止すべきです。

□ 一部の要件を満たさない事業所に加算することは、単なるばらまきのような形にすぎず、速やかに廃止すべきです。

□ 取得率が1%に満たず、制度の簡素化という観点からも見直しを図ってはどうでしょうか。

□ 加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止には絶対に反対です。加算(Ⅳ)、(Ⅴ)を廃止して介護人材の確保の加速化をどうやるのか非常に疑問であり、全く理解できません。小規模のところほど加算(Ⅳ)、(Ⅴ)相当が多く、小規模のところを切り捨てるようなことには絶対に反対です。

 

 「介護職員処遇改善加算」は次のとおりです(平成29年4月1日から拡充が行われています)。

  ②(介護職員処遇改善加算のあり方について)

□ さまざまな課題はありますが、まずは平成29年10月に予定されている介護従事者処遇状況等調査を通じて、平成29年度介護報酬改定における月額1万円相当の処遇改善による実際の賃金改善効果をきちんと把握することが必要です。

□ 介護職員処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)を取得している事業者は約8割に達したという実態を踏まえ、基本報酬に組み込むことでもよいのではないでしょうか。

□ 処遇改善については、本来、労使間において自立的に対応されるべきで、特定の業種の処遇改善に介護保険料を充てるということは、被保険者や事業主からはとても理解が得られません。介護職員処遇改善加算は廃止すべきです。政府においてさらに処遇改善の必要性があるとするならば、税で対応するのが筋です。

□ 加算で処遇改善を図る方法は、きちんと給料に回る一つの方法として残すべきです。

□ 処遇改善については、引き続きぜひ実施すべきです。方法については、税で行う方法が確立するのであれば、加算の方法よりも望ましいが、それが確たるものにならない限りは何らかの形で処遇改善を図っていくべきです。

□ 介護従事者全体の処遇改善を行うべきです。

□ 介護職員がキャリアアップしていく中で、生活相談員やケアマネジャーになると加算がつかなくなり、給与が減ってしまうので、対象を広げることが必要です。また、処遇改善について、全産業を念頭に向上させるべきです。さらに、勤続年数を加味した仕組みを導入することで、勤続年数が長くなるのではないでしょうか。

□ 介護職員処遇改善加算の請求のために保険者あるいは事業者のそれぞれは時間や労力などを含め多大なコストを要しているように思います。

□ 人材の確保のためには、もちろん処遇改善も重要な要素ですが、それ以外にも、職場を辞めた理由として掲げられている点が複数あり、その点の改善も重要です。

 

これらの意見に対して、現状と対応案が次のとおり示されていました。

(現状)

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)は、要件の一部を満たさない事業者に対し、減算された単位数での加算の取得を認める区分であり、これらの区分の取得率については1%程度で推移している。(下図参照)

(対応案)

① 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、報酬体系の簡素化の観点も踏まえ、一定の経過措置を設けた上で廃止することとしてはどうか。また、その間、介護サービス事業所に対してはその旨の周知を図るとともに、より上位の区分の取得について積極的な働きかけを行うこととしてはどうか。

② 平成29年度より実施している「介護職員処遇改善加算の取得促進特別支援事業(下図参照)」について、平成30年度概算要求においても必要な予算を要求中。

 

これらの課題を踏まえて平成30年度に「介護職員処遇改善加算」は、次のとおり見直しが行われます。

平成30年1月26日 第158回介護給付費分科会

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、要件の一部を満たさない事業者に対し、減算された単位数での加算の取得を認める区分であることや、当該区分の取得率や報酬体系の簡素化の観点を踏まえ、これを廃止することとする。その際、一定の経過措置期間を設けることとする。

 

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火・木曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬の改定」を紹介しています。

ブログ記事は

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平成30年度介護報酬改定の動向

訪問介護の改定見直しの主な論点  

・論点①「生活機能向上連携加算の見直しとは何か?」はこちら(2/6)

・論点②「自立生活支援のための見守り的援助の明確化とは何か?」はこちら(2/8)

・論点③「身体介護と生活援助の報酬の見直しとは何か?」はこちら(2/13)

・論点④「生活援助中心型の担い手の拡大とは何か?」はこちら(2/15)

・論点⑤「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/22)

・論点⑥「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(2/27)

・論点⑦「サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化とは何か」はこちら(3/1)

・論点⑧「共生型訪問介護とは何か?」はこちら(3/6)

訪問看護の改定見直しの主な論点 

・論点①「在宅の中重度要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応強化とは何か?」はこちら(1/16)

・論点②「ターミナルケアの充実とは何か?」はこちら(1/18)

・論点③「複数名訪問加算の創設とは何か?」はこちら(1/23)

・論点④「訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問の見直しとは何か?」はこちら(1/25)

・論点⑤「報酬体系の見直しとは何か?~基本サービス費を要支援者・要介護者で別立て」はこちら(1/30)

・論点⑥「集合住宅減算(同一建物減算)の見直しとは何か?」はこちら(2/1)

居宅介護支援の改定見直しの論点

・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)

・論点②「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)

・論点③「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(1/2)

・論点④「医療と介護の連携強化とは何か?」はこちら(1/4)

・論点⑤「末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントとは何か?」はこちら(1/9)

・論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」はこちら(1/11)

通所介護サービスの適正化について

・「通所介護に係る基本報酬の減算措置を含めた介護報酬の適正化」はこちら(12/12)

・「通所介護サービスの論点~生活機能向上連携加算の創設」はこちら(12/21)

 有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について

・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)

 

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