相続税節税の原則~制度を活用する「債務(マイナスの財産)も財産です。戒名料などの葬式費用の取扱いについて」
金曜日は、相続税や贈与税についてわかりやすく紹介しています。
普通の家庭でできる相続税の制度を活用した節税方法を紹介していきます。
三原則は次のとおり。
三原則のうち、第3原則の「制度を活用する」を紹介しています。
制度を活用して非課税・基礎控除を増やす方法です。
「債務(マイナスの財産)も財産ですので、債務は相続財産から差し引きます」ということから、前回は未払金等の債務控除を紹介しました。
今回は、「制度を活用する」という大げさなものではありませんが、相続が起こった際に発生する葬式費用の取扱いを説明します。
葬式費用の考え方とその取扱いについて
葬式費用は、本来被相続人の債務ではありません。相続により財産を取得した方が承継すべき義務のものではありません。
しかし、被相続人の死亡により必然的に生ずる費用であり、その費用は被相続人の遺産から支払われることが一般的です。そのため、葬式費用についても被相続人の債務として債務控除できることとしています。
その中には、具体的に検討すると迷いやすい項目がありますので、まず葬式費用として控除できないものを取りあげます。
葬式費用として取り扱わないもの(債務控除できないもの)
① 香典返し(香典返戻費用)
② 法会に要する費用(初七日、四十九日)
③ 墓碑および墓地の買入費ならびに墓地の借入料
④ 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用(遺体解剖費用のこと)
債務控除できる葬式費用の範囲は、次のとおりです
① 火葬料・埋葬料(葬式若しくは葬送に際し、またはこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がいもしくは遺骨の回送その他に要した費用)
② 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
③ 葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
④ 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
香典等は非課税です。ご注意ください。
取り扱いは次のようになります
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないこととして取り扱うものとする」(続税法基本通達21の3-9 社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)
こうして見ていくと迷いやすい項目があります。迷った場合は専門家とよく相談ください。
Every day is a new day!
みなさん!今日も春の1日を元気にお過ごしください。
金曜日は、「相続税に関する基礎知識」として「誰でもできる節税の三原則」を紹介しています。
・「相続税の節税の三原則~生前贈与と制度をフルに活用します」はこちら(12/8)
・「三原則のひとつ~不動産を活用する。お金をモノに換えておく」はこちら(12/15)
・「お金をモノに換えておく。小規模宅地等の減額特例」はこちら(12/22)
・「小規模宅地等の減額特例~土地を誰が相続するかにより評価額が変わります」はこちら(12/29)
・「小規模宅地等の減額特例~二世帯住宅は登記で特例適用が使えるどうかが分かれます」はこちら(1/5)
・「空き地を活用してアパートを建てるスキームとは」はこちら(1/12)
・「減額特例は老人ホームに入居した場合には適用がありますか?」はこちら(1/19)
・「制度を活用する!~生命保険のメリット」はこちら(1/26)
・「制度を活用する!~高齢で無保険であれば一時払い終身保険がおすすめです」はこちら(2/2)
・「生命保険金を活用する~保険料を支払っていた人は誰ですかに注意」はこちら(2/9)
・「養子縁組の活用~両刃の剣です」はこちら(2/16)
・「債務(マイナスの財産)も財産です。債務は相続財産から差し引きます」はこちら(2/23)
「相続の権利」でよく問題となるケースは、次のとおり。
・「子どもがいる女性が再婚した場合の相続を考えます」はこちら(9/15)
・「子どもがいない夫婦の相続はどうなりますか?」はこちら(9/22)
・「離婚して慰謝料としてマイホームを夫から受け取りました。税金は?」はこちら(9/29)
・「面倒を見てくれていた同居の息子の嫁がいても、相続権はありません」はこちら(10/6)
・「おひとりさまの相続?」はこちら(10/13)
“争族”を避けるための事前の基礎知識は、次のとおり。
・「遺産を相続人で分ける場合、平等は難しい」はこちら(10/20)
・「介護や世話の評価は、もめる原因に一番なりやすい」はこちら(10/27)
・「特別受益の持ち戻しは公平な相続を行うための気が利いた制度ですが」はこちら(11/3)
・「残す側の思いをしっかりと伝える遺言書」はこちら(11/10)
・「自筆証書遺言・公正証書遺言と成年後見制度の活用」はこちら(11/17)
・「遺言書に関係なく全員の合意があれば相続することができます!」はこちら(11/24)
・「遺産分割の話し合いがまとまらないと相続税に不利益が出てきます」はこちら(12/1)
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