経過期間後(令和11年10月以降)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合の法人税法上の取り扱い ~ インボイス制度 消費税[640]
消費税の記事を掲載します。
令和11年10月以降は、税務上はインボイス発行事業者以外の課税仕入れについては仮払消費税等の額はないことになります
を紹介します。
たとえば
Q:
1 令和11年10月1日に免税事業者から国内にある機械装置を取得しその対価として1,100万円を支払いました。
2 税抜経理方式で経理(9月決算)をしています。耐用年数:20年、定額法採用
3 ① 仮払消費税等の額220万円 (この取引100万円とインボイス発行事業者との取引120万円)
② 仮受消費税等の額240万円
③ 未払消費税等の額120万円
④ 雑損失 ①220万円+③120万円-②240万円=100万円
⑤ 取得時の仕訳
⑥ 決算時の仕訳
4 この場合の課税仕入れにかかる法人税法上の取扱いはどうなりますか?
A:
1 経過措置期間の終了後の令和11年10月1日以降は
税務上はインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについては仮払消費税等の額がないこととなります。
仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理をした金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に含めて法人税の所得金額の計算を行うことになります。
つまり
取得時に、法人の会計上100万円を仮払消費税の額として機械の取得価額と区分して経理をしています。しかし、税務上は仮払消費税等の額がないことになります。この100万円は機械装置の取得価額に含めることになります。
3 決算時に雑損失として計上した金額(100万円)は
「償却費として損金経理をした金額に含まれるもの」として取り扱います。
その結果償却限度額を超える部分の金額である95万円を減価償却の償却超過額としてその事業年度の所得金額に加算することになります。
減価償却限度額計算
償却限度額 (10,000,000円+1,000,000円)×0.050=550,000円
償却限度超過額 (500,000+1,000,000)-5500,000=950,000円
4 税抜経理方式で経理をしている場合
課税期間終了の時における仮受消費税等の額の合計額から仮払消費税等の額の合計額(控除対象外消費税額等に相当する金額を除く)を控除した金額と、この課税期間に係る納付すべき消費税等の額との差額については、この課税期間を含む事業年度において益金の額又は損金の額に算入することになります。
この場合の、仮払消費税等の額の合計額には、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて仮払消費税の額として経理した金額は含まれません。
すなわち
事例の場合、法人の会計上、機械装置の取得価額と区分して経理をした100万円の仮払消費税等の額を機械装置の取得価格に含めていないため仮払消費税等の額が220万になっていますが、しかし、税務上の仮払消費税等の額は120万円(インボイス発行事業者との取引にかかる部分)になります。
仮受消費税等の額の合計額(240万円)から仮払消費税等の額の合計額(120万円)を控除した金額(120万円)とこの課税期間に係る納付すべき消費税等の額(120万円)との差額はなく当該事業年度において雑損失として損金の額に算入する金額はありません。
別表四の申告調整は次のとおりです
(出所:消費税経理通達関係Q&A 問5)
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する
(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
冬の1日を朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
月曜日~木曜日に、おもに消費税の記事を書いております。
金曜日は公益信託の記事を掲載しております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
・「公益信託」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。