井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2018.01.11.Thu | 介護事業

平成30年度介護報酬改定の動向~居宅介護支援の論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」

介護報酬改定に係る「居宅介護支援」の主な論点をご紹介します。

見直しの論点は次のとおりです。(平成29年12月18日「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」)

 

「居宅介護支援」の見直しの主な論点

1 質の高いケアマネジメントの推進

2 公正中立なケアマネジメントの確保

3 訪問回数の多い利用者への対応

4 医療と介護の連携強化

5 末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント

 障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携

 

論点⑥「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携とは何か?」を紹介します。

 

次のとおり、見直しを検討することとなっていました。

「介護保険制度の見直しに関する意見(平成28年12月9日 社会保障審議会介護保険部会)において、地域共生社会の実現に向けて、相談支援専門員とケアマネジャーが、支援に必要な情報を共有できるよう両者の連携を進めていくことが適当であり、具体的な居宅介護支援事業所の運営基準の在り方については、平成30年度介護報酬改定にあわせて検討することとするのが適当である。」(上図のアンダーライン部分を参考)

 

連携の必要性は、「共生型サービスの創設」を端緒としています。

※ 「共生型サービス」とは、こちら(7/117/13

 

この共生型サービスについては、介護給付費分科会では次のような議論がありました。

(平成29年11月29日:第153回介護給付費分科会資料)

 

(共生型サービスの意義について)

① 共生型サービスは、その地域の資源が十分でない場合のことや、利用できるサービスを持続させていくという観点でも非常に有効だと考えています。特に地方の過疎地域では一緒にやるべきです。

② 既にやっている事業所等があるので、そこが混乱しないような設備と基準にしないといけません。せっかく地域に根づいてやっているところが、これで逆にやりづらくなるというのは避けるべきです。

③ これまで実際に地域でいろんな形でサービスを提供していた方々が実際にやっていったときに、ここの面が緩和されれば、もっとこの方にもサービスが提供できたのにとか、ここがもう少し緩くなれば、さらに幅広くサービスができると思っていたところに、まず今回の新しい共生型サービスが適用されるべきです。

④ 共生型サービスの意義等について、住民に周知する作業を片方でやっておかないと、なかなかうまくいかない部分も出てくるので、あわせて国民や住民に対する情報提供もぜひお願いしたい。

⑤ 自治体の窓口は介護の部局、障害の部局が2つ存在していて、それぞれが連携していないとちぐはぐなものになってしまいます。事業所側や現場側が混乱しないような役所の仕組みづくりというものも必要ではないでしょうか?

⑥ 地域とのつながり(介護・障害、子どもの一時預かりなど多世代・制度外の取組み等)の評価を検討してはどうでしょうか。

⑦ アウトカム評価について、利用者・入居者の暮らしを支えるだけでなく、地域共生社会実現に向けて地域にどのような価値を生み出したかを、社会的インパクト評価の枠組みなども参考に評価することを考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

(サービスの質の確保について)

① 職員はいきなり障害を持っている利用者が来られても困るので、研修をかなりやらないと、できないでしょう。

② 高齢者と障害者の状態には違いがあり、また、障害者の中でも幾つかの分類があるように、それぞれ特性があり、専門性が求められるので、そこで働く職員に対しては、十分な教育が必要ではないでしょうか。

③ 研修をきちんと受けられるような時間とか、代替要員の確保とか、そういうことも必要ではないでしょうか。

 

(介護支援専門員と相談支援専門員の連携について)

① 介護支援専門員と相談支援専門員の連携運営基準に定める必要があります。福祉の相談支援専門員とケアマネジャーの両方の資格を有する方を育成していくのが一番手っ取り早い。相談支援専門員の研修は、それほどハードルが高くないようなので、そういう形にするのがマンパワーの有効活用という意味からも有効ではないでしょうか。

② 双方の分野において相互理解を深めていく必要は絶対あるわけで、例えば介護側から見たときに、障害者の生活状況や障害サービスの理解とか、そういったことの相互理解というのは絶対に必要になってきます。例えば、ケアマネジャーの法定研修に相談支援専門員との連携に関する科目を入れるとか、そういったところからの設計が必要ではないでしょうか?

 

 

これらの課題を踏まえて「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携」について、次のように報告されています。

(平成29年12月18日「平成30 年度介護報酬改定に関する審議報告」)

 

(障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携)

障害福祉サービスを利用してきた障害者が介護保険サービスを利用する場合等における、ケアマネジャーと障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携を促進するため、指定居宅介護支援事業者が特定相談支援事業者との連携に努める必要がある旨を明確にする。

 

共生型サービスの取り組み推進のため、今後、具体的には運営基準(下図参照)の基本方針第4項にこうした連携が追加されます。

 

 

今回紹介した「障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携」は

地域包括ケアシステムの推進を図るため、「地域共生社会の実現に向けた取組の推進」の中の取り組みのひとつです。

(下図の黄色アンダーライン部分)

 

12/5から介護報酬改定の動向を紹介しています。改定に伴う介護サービスの論点を知っておくことは重要です。

 

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介護事業の会計や税務・経営で気になる点について一緒にベストな解決策を検討しましょう。

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火・木曜日は「介護事業の基礎知識~平成30年度介護報酬の改定」を紹介しています。

ブログ記事は

http://www.y-itax.com/category/kaigo/

 

居宅介護支援の改定見直しの論点

・論点①「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)

・論点②「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)

・論点③「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」はこちら(1/2)

・論点④「医療と介護の連携強化とは何か?」はこちら(1/4)

・論点⑤「末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメントとは何か?」はこちら(1/9)

 

改定の方向性を踏まえて、TRAPE鎌田大敬氏が伝えたい「事業者が取り組むべき主な事項」

・「医療・介護報酬同時改定に関して現在までの整理」はこちら(12/14)

 

通所介護サービスの適正化について

・「通所介護に係る基本報酬の減算措置を含めた介護報酬の適正化」はこちら(12/12)

・「通所介護サービスの論点~生活機能向上連携加算の創設」はこちら(12/21)

 

訪問介護の生活援助の見直しについて

・「身体介護を含めて訪問介護の報酬を見直し」はこちら(12/7)

・「訪問介護サービスの論点~生活援助の担い手の拡大(基準の緩和)」はこちら(12/19)

 

有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について

・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)

改定スケジュールはざっくりと把握しましょう

・「平成30年度介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)

 

ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。

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