平成30年度介護報酬改定の動向~居宅介護支援の論点「訪問回数の多い利用者への対応とは何か?」
介護報酬改定に係る「居宅介護支援」の主な論点をご紹介します。見直しの論点は次のとおりです。(平成29年12月18日「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」)
「居宅介護支援の見直しの主な論点
1 質の高いケアマネジメントの推進
2 公正中立なケアマネジメントの確保
3 訪問回数の多い利用者への対応
4 医療と介護の連携強化
5 末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント
6 障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携
今回は「訪問回数の多い利用者への対応」を紹介します。
「訪問回数の多いケアプラン」について、次のような論点で議論がありました。
(出所:平成29年11月22日第152回介護給付費分科会、資料1)
(現行報酬体系に構造的な課題)
・一定の間隔を空ければ一日に複数回所定の報酬を算定可能な現行の報酬体系は、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題があるという指摘があります。
(適切なケースもあり、留意が必要)
・一方で、訪問回数の多い利用者については、認知症、退院時、独居・高齢者世帯等、必ずしも不適切なケースであるとは限らないことに留意が必要です。
見直しの結果、「訪問回数の多いケアプランは市町村に届け出る」という方針に。
訪問介護の生活援助が著しく多いケアプランは市町村へ届け出、地域ケア会議などで検証を実施することを求める方針です。
具体的には次のとおりです。
(市町村が地域ケア会議の開催等により検証)
訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認・是正を促していくことが適当であり、ケアマネジャーが一定の回数を超える訪問介護を位置付ける場合には、市町村にケアプランを届け出ることとし、届け出られたケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検証を行うこととします。
(届け出る必要があるケアプランの範囲)
訪問介護(生活援助中心型)が通常のケアプランよりかけ離れた利用となっていることや、保険の事務負担を考慮して、具体的な届出の範囲等を定めます。
(届出の範囲)
訪問介護(生活援助中心型)の回数が、通常の利用状況と著しく異なる※もの。
※ 要介護度別に「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を超えるもの(4.3%~6.1%程度(全体で約2.4万件))
(届出後の対応)
・地域ケア会議の機能として、届け出られたケアプランの検証を位置付け、市町村は地域ケア会議の開催等により、届け出られたケアプランの検証を行うこととします。
・市町村は、ケアマネジャーに対し、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、サービス内容の是正を促します。
・届出対象の範囲を平成30年4月に示した上で、6ヶ月の周知期間を設けて10月から施行します。
(次のようなケアプランの適正化に向けた対策強化を検討しています。第152回介護給付費分科会の資料から)
財政制度等審議会が訪問介護の生活援助の見直しを求めていましたが、上のようにケアマネジメントで頻回訪問に対応するということになります。
12/5から介護報酬改定の動向を紹介しています。改定に伴う介護サービスの論点を知っておくことは重要だと思います。
次回、1/4(木)は居宅介護支援の見直しの主な論点のうち、4の「医療と介護の連携強化」を紹介します。
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ブログ記事は
http://www.y-itax.com/category/kaigo/
居宅介護支援の論点
・「質の高いケアマネジメントの推進とは何か?」はこちら(12/26)
・「「公正中立なケアマネジメントの確保とは何か?」はこちら(12/28)
改定の方向性を踏まえて、TRAPE鎌田大敬氏が伝えたい「事業者が取り組むべき主な事項」
・「医療・介護報酬同時改定に関して現在までの整理」はこちら(12/14)
通所介護サービスの適正化の記事
・「通所介護に係る基本報酬の減算措置を含めた介護報酬の適正化」はこちら(12/12)
・「通所介護サービスの論点~生活機能向上連携加算の創設」はこちら(12/21)
訪問介護の生活援助の見直しの記事
・「身体介護を含めて訪問介護の報酬を見直し」はこちら(12/7)
・「訪問介護サービスの論点~生活援助の担い手の拡大(基準の緩和)」はこちら(12/19)
有料老人ホーム等の併設事業所に対する集合住宅減算の強化について
・「有料老人ホーム等の訪問介護サービスの見直し」はこちら(12/5)
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・「平成30年度介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)
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