トマ・ピケティ「資本とイデオロギー」(みすず書房)を読んで ~ こう考えています
「21世紀の資本」に続く、トマ・ピケティの姉妹書の邦訳です。
昨年8月に出版されています。
この本のメッセージは「不平等は政治的につくられたもの。だからこそ政治的に是正できる」というもの
を紹介します。
「あらゆる人間社会は、その格差を正当化せざるを得ない。格差の理由が見つからないと、政治的、社会的な構築物が崩壊しかねない。だからどんな時代にも、既存の格差や、あるべき格差と考えるものを正当化するために各種の相反する言説やイデオロギーが発達する。こうした言説からある種の経済的、社会的、政治的なルールが生じ、人々はそれを使って周囲の社会構造を理解しようとする。相反する言説の衝突-これは経済的、社会的、政治的な面を全て持つ衝突だ-から支配的なナラティヴがいくつか生じ、これが既存の格差レジュームを強化する。」(1頁)
「不平等は政治的につくられたもの。だからこそ政治的に是正できる」というメッセージです
こうしたメッセージの基盤となる背景に、書籍では税制の歴史が取り上げられています。
そうした点に興味を持ち、読みました。
次の書評です
「各国・各時代の制度が資産や所得の不平等を作り出した仕組みを説明する。とりわけ税制は、他の権利義務体系と関連付けられ重要な役割を与えられている。」
「まさに資本とイデオロギーとの関係が政治過程において具体化されることで、社会に不平等が出現し正当化されてきたことを示す。」
(23/10/14 朝日新聞 評・神林龍)
所得税や相続税の累進課税は「通常のルール」という理解のもと、普段の仕事を進めているわけですが
こうした累進課税ルールを採用するに至った背景にも、歴史的に相当の衝突が続いてきたのですね。
本書を読むと税の歴史がわかります。
法律(ルール)に基づき正確な申告などをすることは当然なのですが。
一方、税理士という立場から、現在のルールの適否、是非、存否などについて、見直すという視点から、仕事を常に考えていきたいと思っています。
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いております。
現在は、消費税の記事を取り上げて、月曜日~金曜日に記事を書いております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
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