会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?「土地の売買編②」
水曜日は、「同族会社とその役員との取引」について税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介しています。11回目です。
「会社が、社長から土地を買う場合(買主:会社、売主:社長)」のうち
今回は「社長の税金と会社の税金はどうなるか?」を紹介します。
1 土地を売った社長の税金から考えます。
① 「譲渡所得」として課税されます
個人が土地を売った場合、所得税法上、その譲渡益は譲渡所得として、課税されます。
譲渡益は次のような算式で計算します。
売買価額-(取得価額+譲渡費用)= 譲渡益
② 「短期」と「長期」に区分します。
この場合の譲渡益は、土地の所有期間により「短期」と「長期」の譲渡に区分されます。
土地を売却した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得に、5年以下であれば短期譲渡所得になります。
具体的には次のように考えます。
土地・建物を平成29年に売却した場合
・平成23年12月31日までに取得 → 長期譲渡所得
・平成24年1月1日以後に取得 → 短期譲渡所得
③ 短期と長期では税率が違います。
【長期のケース】
譲渡益(譲渡所得)に次の税率を乗じて計算した金額になります。
譲渡所得×20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
【短期のケース】
譲渡益(譲渡所得)に次の税率を乗じて計算した金額になります。
譲渡所得×39.63%(所得税30.630%、住民税9%)
④ 分離課税になります
土地の譲渡益に対する課税は、総合課税ではありません。分離課税となりますので、役員報酬などの給与所得と合算されることはありません。
2 土地を買った会社側の税金
税金が発生することはありません。土地を購入した会社では次のような仕訳をします。
(土 地) 〇〇〇 / (現金預金) 〇〇〇
土地は有形固定資産に計上されます。当然に減価償却はされません。
3 自己取引になりますので、株主総会等の承認が必要になります。
自己取引とは(11/29)
次回12/27(水)は、「会社が役員から低い価額で土地を買うと?」をします。社長と会社の税金を考えます。会社と役員の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生することがあります。
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水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」を紹介しています。
次のような順序で解説してきました。あてはまる事例を参考にしてくださいね。
同族関係者の土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
同族関係者間の建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
同族関係者間の金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
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・「青色申告はどうすればいい?届出は税務署からスタートします」はこちら(12/18)
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