売手がインボイスを故意に交付しないので仕入税額控除ができません ~ インボイス制度 消費税[463]
消費税の記事を掲載します。
「インボイスをください」と言われたら、インボイスを出さなければいけません。普通は交付されますが?
を紹介します。
インボイス発行事業者の義務とは
取引の相手方(課税事業者)の求めに応じて、インボイスを交付する義務があります。
<参考>
→ インボイス制度で何が変わるのか? 登録を受けた事業者には適格請求書を交付する義務が生じます
ただ、売手が故意にインボイスを交付しないケースがあった場合
Q:
「売手の故意によって無効なインボイスの交付を受けた場合、それでも買手は、調査で仕入税額控除を否認されるのか?」
A:
「まず、基本的な考え方としては、インボイス制度実施後、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、課税仕入れに係る一定の事項が記載された『帳簿』及びインボイス発行事業者から交付された『インボイス』の保存が必要となりますので、買手の行った課税仕入れについて、適正なインボイスの保存がない場合、原則として、仕入税額控除の適用を受けることはできないこととなります。」
「しかし、買手が社会通念上相当と認められる注意を払っていたにもかかわらず、例えば、売手の故意によって不正なインボイスの交付を受け、買手が仕入税額控除に必要な正しいインボイスを保存できていなかった時など、その保存がないことにつき『買手の責めに帰さない状態』にあると認められる場合には、個々の事実関係を踏まえて、消費税法第30条 第7項ただし書きに規定する『災害その他やむを得ない事情』が適用される場面もあると考えています。」
「いずれにしても、インボイス制度実施後においては、インボイス発行事業者から交付されたインボイスの保存がない場合、買手の課税仕入れについては、原則として仕入税額控除ができませんが、個々の事実関係に基づいて、法令等に照らして適切に取り扱ってまいりたいと考えております。」
(国税庁回答)
(出所:週刊税務通信 NO3739 23/02/06)
「災害その他やむを得ない事情」の考え方は次のとおりです
<参考>
消費税法第30条 第7項ただし書き
仕入れに係る消費税額の控除
「7 第1項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(略)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。
ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。」
消費税法基本通達11-2-22
災害その他やむを得ない事情の意義
「法第30条第7項ただし書《災害その他やむを得ない事情により帳簿等を保存しなかった場合》及び同条第11項ただし書《災害その他やむを得ない事情により本人確認書類を保存しなかった場合》に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義については8-1-4による。」
消費税法基本通達8-1-4
災害その他やむを得ない事情の範囲
「法第8条第2項ただし書《輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等》に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義は、次の各号に掲げるところによる。
(1) 「災害」とは、震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに基因する災害をいう。
(2) 「やむを得ない事情」とは、前号に規定する災害に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することができない状況にある事態をいう。」
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋分の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いておりましたが、現在はインボイスなど消費税の記事を取り上げて、月曜日~金曜日に記事を書いております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
免責
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また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。