「適格返還請求書」いわゆる返還インボイスは、なぜ発行しなければならないのでしょうか? ~ インボイス制度 消費税[454]
消費税の記事を掲載します。
買手の過大になる仕入税額控除を防止するため。エビデンスが必要
を紹介します。
返品や値引きにともない売上代金の返金や売掛金の減額をした場合、取引先に対して返還インボイスを交付する義務があります
つまり
インボイス発行事業者には、課税事業者に売上げに係る対価の返還等を行う場合、返還インボイスを交付する義務が課されています。
返還インボイスとは次の事項を記載した請求書などをいいます
① インボイス発行事業者の氏名または名称、登録番号
② 売上げに係る対価の返還等を行う年月日、その売上げに係る対価の返還等の基となった売上年月日
③ 取引内容(軽減対象品目である場合はその旨)
④ 税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ ④の消費税額等または適用税率(両方記載することができます)
インボイスの発行には次のような意味があります
商品を200万円で販売し、買手に200万円のインボイスを発行します。
後日、割戻しにより20万円を支払った場合、売手は20万円について返還等対価に係る税額を税額控除できます。
一方
買手は200万円のインボイスを受け取っています。その後20万円の割戻金を受け取っています。差引仕入れは180万円です。買手の仕入税額控除の対象となる金額は200万円-20万円=180万円です。
最初のインボイスだけで計算すると過大控除になります。
したがって、売手から買手に売上げの返品、値引き、割戻し、売上割引、販売奨励金などがあれば、返還インボイスを買手に発行しなければならないことを義務づけたということです。
返還インボイスに関連する記事は次のとおりです
→ 返品や値引きをした場合には返還インボイスの発行が必要になります
→ 返還インボイスの基となった販売を行った年月日の記載はどうしますか?
→「インボイス(適格請求書)」と「返還インボイス(適格返還請求書)」をひとつの書類で交付する場合の取り扱い
→ 対価の返還インボイスの交付義務が免除になる1万円未満の判定単位について
<参考>
売手において、返還インボイスは売上返還に対する税額控除の要件にはなっていません。
帳簿への法定事項の記載がルールです。
消費税法 第38条 売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除
「事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額と当該対価の額に100分の10を乗じて算出した金額との合計額の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をした場合には、当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行った売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費額の合計額を控除する。」
「2 前項の規定は、事業者が当該売上げに係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合には、当該保存のない売上げに係る対価の返還等に係る消費税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。」
(出所:インボイスに関するQ&A 令和5年4月改訂 問18)
「変化は起きる。変化を予期せよ。変化を探知せよ。変化を楽しもう!」
(スペンサー・ジョンソン)
秋の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
ブログは、曜日によりテーマを決めて書いておりましたが、現在はインボイスなど消費税の記事を取り上げて記事を書いております。
・「贈与や相続・譲渡など資産税」または「確定申告などの所得税」
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。