輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いについて~ インボイス制度 消費税[423]
消費税の記事を掲載します。
今回は
輸入委託した場合、自社が負担した輸入消費税が「立替金の精算」をしたものとはならないケース
を紹介します。
たとえば
Q:
1 当社は、米国のA社から甲製品を輸入するに当たり、その輸入を国内のC社に委託することにしました。
2 甲製品の輸入に際してC社が輸入貨物の引取り者(輸入者)として輸入申告を行い、C社が、甲製品の保税地域からの引取りに係る消費税(「輸入消費税」といいます。)を納付しています。
また、当社はC社の納付した輸入消費税を負担することとしています。
3 当社の消費税の確定申告に際して、当社が負担したC社の輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることはできますか?
A:
貴社は甲製品の輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることはできません。
考え方は次のとおりです
あくまでも、輸入申告者はC社になります。
C社が輸入消費税を納付していますので、当社が後日これを精算したとしても、当社が直接輸入消費税の税額控除はできません。当社にとっては単なる国内仕入れとなります。
当社が負担した輸入消費税は「立替金の精算」をしたものとはなりません。
一方、次のように実質的な輸入者に仕入税額控除の適用を認めるケースがあります
「限定申告」というものです。関税定率法に規定がありますが、極めて限られています。
<参考>
消費税法基本通達 11-1-6
実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取扱い
課税貨物について、関税定率法第9条の2《関税割当制度》の規定により割当てを受け又は関税暫定措置法の規定により関税の軽減若しくは免除を受ける場合には、当該割当てを受けた者又は軽減若しくは免除を受けようとする者(当該課税貨物を使用又は消費する者)の名をもって輸入申告をしなければならないこととされている(いわゆる「限定申告」)が、当該輸入申告を行う者(以下「輸入申告者」という。)が単なる名義人であって当該課税貨物を実質的に輸入する者(以下「実質的な輸入者」という。)が別に存在する場合において、次の全てに該当するときは、実質的な輸入者が当該課税貨物を保税地域から引き取ったものとして 法第30条 から 第36条 《仕入れに係る消費税額の控除等》の規定を適用する。
(1) 実質的な輸入者が、輸入申告者が引き取ったものとされる当該課税貨物を輸入申告後において輸入申告者に有償で譲渡する。
(2) 実質的な輸入者が、当該課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額を負担する。
(3) 実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存する。
(国税庁「質疑応答事例」)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
大暑の1日、元気にお過ごしくださいね!
[編集後記]
トップの画像は「プラスアール+R」のインスタグラムより。
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