「役員借入金」無利息で会社が社長からお金を借りた場合は、税金の問題はどうなります?
水曜日は、「同族会社とその役員との取引」について税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介しています。7回目です。
同族会社で発生する問題に対して、税務上の予防として対策を考えていきたいと思います。
当初のケースでは「会社と社長との建物の賃貸借」を紹介し、続いて「金銭の貸借」を検討しています。その後「土地の売買や貸借」の場合を連載していきますね。
前回の、「高金利で金銭を借りた場合(借り手:会社、貸し手:社長)」では双方に問題が生じましたが、
今回は
「無利息または低金利でお金を借りた場合」は、税金の問題はどうなるか紹介します。(借り手:会社、貸し手:社長)
A この場合は、会社、役員ともに税金の問題は生じません。
税金の問題が生じない理由を考えていきます。
①貸し手:社長側
個人の場合は、法人と違い、経済合理性に基づいて取引するものではないと税法上は考えています。したがって、社長が会社にお金を貸し付けたとしても、利息を徴収すべきとはなりません。所得税では実際に利益を受けたときに、課税されることになります。無利息の場合は、利益を受けていませんので、課税の問題となりません。
低金利で貸し付けた場合においても、その低利により受け取った利息について申告すればよいことになります
②借り手:会社側
法人の場合は、個人とは違い、常に経済合理性に基づいて取引をすると、税法上は考えます。会社から見れば、低い金利で借りる方が、経済合理性があることになります。低い金利であればあるほど経済合理性に適っていることになります。
また、適正な金利に基づくものとして考えたとしても、会社側の損益計算では、その適正利息の差額部分は支払利息免除益として益金の額に算入されるとともに、支払利息として損金の額に算入されます。
適正利息の差額部分は次のように考えます。
支払利息(損金算入) 〇〇円 / 支払利息免除益(益金算入) 〇〇円
結果として、損金と益金が相殺されます。その結果、所得は発生せず、課税は生じないことになります。
会社と役員の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生することがあります。
税金の常識は、皆様が思っておられる日常の常識と相違する場合がありますので、専門家に相談されることをおすすめします。
ご相談については、電話やメールでお気軽にご相談ください(来所していただける場合初回無料です)。
水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」を紹介しています。
・「役員借入金~会社が社長から高金利でお金を借りる場合」はこちら(11/15)
・「会社が、社長からお金を借りる場合に利息と税金はどうなりますか?」はこちら(11/8)
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