端数処理はなぜ1インボイスごとに1回なのか? ~ インボイス制度 消費税[312]
消費税の記事を掲載します。
今回は
今までは認められていた商品ごとの端数処理が認められず、どうして1インボイスについて税率ごと1回の端数処理しか認められないのか
を紹介します。
消費税額の端数処理は1インボイスあたり、各税率(10%・8%)の合計額に1回行うルールで統一されます
請求書(インボイス)の記載事項である消費税額に1円未満の端数が生じる場合は、1請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります。
切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法は、任意です。
具体的には
ジャガイモ1箱100個を売ったときは、100個分の金額に税抜金額なら100分の8、税込金額なら108分の8を掛けます。1個分の金額から8%分を求めて、銭の単位を切捨てて100倍はできません。
1個あたり切捨てすると、その分税額が減りますから、それは認められないという趣旨です。
言い換えると、請求書の税率ごとに1回の処理ですませるというルールです。
なぜ今までやっていたもの(商品ごとの端数処理)がダメなのか?
① 消費税額の計算方法を定める必要があります
「現行の消費税法においては、消費税額を記載した請求書等の交付は必要ありませんでした。しかし、インボイス制度後は、(略)消費税額の記載が必要になります。そうしたときに、『消費税額』の計算方法が一意に定まるように法律で規定しないといけないわけです。」
②「どのように計算してもよい」となると消費税額の計算方法は多数考えられます
「たとえば、『単品1個当たりの消費税額を算出して個数を乗じて計算する方法』や、(略)『明細行ごとに商品の単価と個数を乗じて算出された金額に対して消費税率を乗じて消費税を計算する方法』も考えられます。また、インボイス制度で記載を求めているように『税抜総額に対して税率を乗じる方法』も考えられるため、これだけでも3パターン考えられます」
③ 多様な税額計算方法認めると税額が相違し調整コストが発生します
「ある種の交通整理が必要になるというわけです。なぜ交通整理が必要なのかというと、皆さんが多種多様な方法で計算してしまったら『もっと違う方法で計算してくれた方が私は積み上げられる仕入税額をもっと大きくできるんですが、あなたが行ごとに端数処理したから、私が積み上げられる消費税額が減ってしまったじゃないですか』といったことが起こってきますよね。そのような、調整コストを世に生じさせるのは避けなければいけないということです。(略)やはり消費税額はどうしても法令でその計算方法を決めることになります」
(出所:税務通信NO3714 インボイス制度の疑問点<第2回>)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
冬の1日、元気にお過ごしくださいね!
[編集後記]
曜日によりテーマを決めて書いていましたが、しばらくは消費税(インボイス)の記事を掲載していきます。
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