「暗号資産(仮想通貨)」の消費税と所得税の取り扱いのポイント(わかりやすく) ~ 確定申告で間違えやすい項目
個人の税金の記事を掲載します。
今回は
暗号資産(仮想通貨)の譲渡は、支払手段に類するもので消費税法上は非課税です
紹介します。
消費税法では平成29年度改正により支払手段に類するものに「暗号資産」が追加されています
次のように暗号資産の譲渡が新たに非課税とされています。
<参考>
消費税法施行令 第9条
(有価証券に類するものの範囲等)
「4 法別表第1第2号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する暗号資産及び国際通貨基金協定第15条に規定する特別引出権とする。」
個人の暗号資産の所得税について注意したい点は次の4つです
1 暗号資産による取引で20万円を超える所得が生じていれば確定申告が必要です
暗号資産の取引などで得た利益は「雑所得」に分類されます。
2 雑所得は総合課税の対象です
給与所得などほかの所得と合算した額に応じて税率が決まります。
所得税は累進税率です。最大45%で、住民税10%を合わせると合計で税率55%です。
一方、株式売買は譲渡所得、FX取引は雑所得です。これらは申告分離課税で税率は一律で20.315%です。
3 損益通算はできません。また繰越控除はできません
つまり、他の所得区分の損失とは通算できず、損失の次年度以降への繰越しができないという処理となります。
4 暗号資産の譲渡原価の算出方法について
方法は「移動平均法」と「総平均法」の2つあります。原則として、いずれかを選択して届出書を提出する必要があります。
評価方法の届出書の提出がない場合には、評価方法は「総平均法」になります。
<参考>
令和3年12月22日 資産に関する税務上の取扱いについて(情報)
11 暗号資産の評価方法の届出
Q:
「初めて暗号資産を取得しましたが、その暗号資産の評価方法を選定する必要があると聞きました。選定の具体的な手続を教えてください。」
A:
「初めて暗号資産を取得した年分の確定申告期限(原則:翌年3月15 日)までに、納税地の所轄税務署長に対し、『所得税の暗号資産の評価方法の届出書』の提出が必要です。
『10 暗号資産の譲渡原価』のとおり、暗号資産の売却等に係る譲渡原価の計算の基礎となる年末(12月31日)時点で保有する暗号資産の評価額については、『総平均法』又は『移動平均法』のいずれかの評価方法により算出することとされています。
これらの評価方法は、暗号資産の種類(名称)ごとに選定することとされており、
① 初めて暗号資産を取得した場合
② 異なる種類の暗号資産を取得した場合
には、その取得した年分の確定申告期限(原則:翌年3月15日)までに、納税地の所轄税務署長に対し、その選定した評価方法など所定の事項を記載した届出書(所得税の暗号資産の評価方法の届出書)を提出する必要があります。
注
1 この取扱いは、令和元年の所得税法等の改正により措置されたものです。
2 評価方法の届出書の提出がない場合には、評価方法は「総平均法」になります。」
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
秋の1日、元気にお過ごしくださいね!
【編集後記】
水曜日の「消費税」の記事はお休みしました。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」または「電子帳簿保存法の改正」
・火曜日~木曜日は「消費税」
・金曜日と土曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・日曜日は「経理・会計」
免責
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