「残す側の思いをしっかりと伝える遺言書」~“争続”阻止の最大の切り札になります
金曜日は、相続税や贈与税について紹介しています。前回は「特別受益の持ち戻し」
今回は「遺言書の必要性」を考えます。
「遺言」とは、故人の意思を整理し、それらを相続人に言い残すことです。
しかし、誰でも作りたくないですよね。自分の死後を考えることも気が進まないですし、自分の家族は“争続”にならない、大丈夫だと思いたいですから。
しかし、被祖続人や相続人の状況によっては、遺言書がある方がよいケースがあります。
そうした事例を紹介します。
そのようなケースに当てはまる方は、構えずにエンディングノートを作成するような気持ちで、家族のひとりひとりを思って、ご自身の気持ちを伝えられたらどうでしょう。
それと遺書と遺言書とは相違します。
どちらも、家族などへのメッセージとういう点では同じですが、遺言は財産の相続や処分子どもの認知など法理的効果を意図して、遺言者の意思で書くものです。
遺言書については被相続人に関して言えば、次のようなことができます
・相続人に相続させる財産の指定ができます。
「この土地は長男にあげたい」「この株式は妻にあげたい」といった相続させる財産の指定ができます。世話になった相続人に多くの財産を残すように指定することができます。
・相続人以外にも財産を残すことができます。
例えば、内縁の妻である配偶者や介護や看護で世話になった子どものお嫁さんは相続人ではありませんが、遺言によって財産の一部を残すことができます。
では、遺言書を残した方が良いケースとは、次のとおりです。
①相続人が被相続人の遺産内容を知らない場合
相続人が被祖続人のすべての財産の状況を分かっていないケースがあります。
②再婚した相手に連れ子がいる場合
生前に養子縁組をしていない場合には、遺言で遺贈すれば、連れ子に遺産の一部をあげることができます。
・「子どもがいる女性が再婚した場合の相続を考えます」のケース(9/15)
③夫の兄弟姉妹が相続の権利を主張する場合
遺言書を作成しておけば夫が万が一の場合でも、夫の兄・姉の承諾なしですべての遺産を妻が相続できます。
・「夫の兄弟姉妹が相続する権利を主張」のケース(9/22)
④配偶者やこどもがいない場合
・「配偶者やこどもがいない方の相続?」のケース(10/13)
④例えば、面倒を見てくれた同居の息子の嫁がいる場合
・「面倒を見てくれていた同居の息子の嫁がいても、相続権はありません」のケース(10/6)
⑤兄弟姉妹の仲が悪い場合など
なぜ、遺言書があれば“争続”トラブルを回避できるのか?
残された方の多くは、遺産分割が多少不満でも故人の遺志に反してまで争おうとしないからだと思います。
次回11/17(金)は、「遺言書の方式とメリット」をご紹介します。
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