「外部事業者の商品・サービスと連携せよ!」ヘルスケアサービス(介護保険外事業)創出の基本的戦略NO3
日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門マネジャーである志水武史氏のお話をお伝えします。10回目です。
大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム(略称「OKJP」)の「新規ビジネスプラン創出研究会」に参加しました。そこで同氏が示された点で、私が重要だと考えたことを以下に述べます。
前回の「サービス提供分野を拡大せよ!」に続き、ヘルスケアサービス創出の基本的戦略を紹介します。
今回は「外部事業者の商品・サービスと連携せよ!」です。具体的には、次のような考え方です。
サービス提供分野の拡大に際し、自社のみでの対応は困難かつリスキーです。そのため、地域版ヘルスケア産業協議会などの場を活用して、事業者同士のマッチングを通じて、 商品・サービスの連携を図ることが重要となります。連携とは、単なる互いの顧客紹介だけではなく、連携に基づく新たな事業スキームを構築することが必要となります。
志水氏は下図を示して、横軸にヘルスケアのフェーズ(5分野「運動」「食事」「リラクゼ・ー・ション」「健診・健康管理」「治療・リハビリ」)をとり、縦軸に介入ツールの種類(3区分「健康関連機器・商品」「施設サービス」「サービス」)をあげて、特定分野での商材拡大(縦展開)、または周辺分野(横展開)が必要だと指摘します。
そして、縦横いずれの展開を図る場合も、自社単独で実施する必要はなく、必要なリソースを持った外部事業者との連携を行うことが大切だと紹介されています。
代表的な成功事例としては、DPPヘルスパートナーズ×データホライゾン、FINC×ジョイフィット、スマイル・プラス×NTTなどの事例が挙げられています。
その中で、「データホライゾン×DPPヘルスパートナーズ」の取り組みを紹介します。
(株)データホライゾンは、保険者から受託し、レセプトと健診データを分析しデータヘルス計画作成の支援、各種保健事業の支援とその効果分析などを行っています。
一方、 (株)DPPヘルスパートナーズは、生活習慣病の重症化予防(糖尿病などの慢性疾患の重症化、合併症の発症を予防するために、かかりつけ医と連携しながら自己管理していく方法(セルフマネジメント教育))を提供する会社です。
広島県呉市の「糖尿病性腎症等重症化予防プログラム」です。
その中で両社は連携を図りました。このプログラムは、レセプトデータ等から、糖尿病性腎症患者で生活習慣の改善等により重症化(人工透析導入等)予防が期待される対象者を抽出。かかりつけ医との連携の下、保健指導を行い、QOLの向上を図る取り組みです。
下図というと、(株)データホライゾンは、レセプトデータ、特定健診データから重症化予防対象者を抽出します。(株)DPPヘルスパートナーズは、専門的な訓練を受けた看護師による個別支援を行うという連携を行っています。
内閣府の「歳出効率化に資する優良事例の横展開のための健康増進・予防サービス・プラットフォーム」において、「優良事例についてのヒアリング~ 呉市国民健康保険、株式会社データホライゾン、株式会社DPPヘルスパートナーズ、協会けんぽ広島支部」として紹介されています。
(図の出所:「歳出効率化に資する優良事例の横展開のための健康増進・予防サービス・プラットフォーム」中間報告平成27年12月7日)
※ 今年の4月に、(株)データホライゾンは技術力強化のため(株)DPPヘルスパートナーズを子会社化しました。
次回11/9(木)は、「マーケティングは適切に実施せよ!」ヘルスケアサービス(介護保険外事業)創出の基本的戦略NO4をご紹介します。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」として記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしています。
・「サービス提供分野を拡大せよ!ヘルスケアサービス事業創出の基本的戦略」はこちら(11/2)
・「介護保険を活用せよ!ヘルスケアサービス事業創出の基本的戦略」はこちら(10/31)
・「ヘルスケアサービス事業は単品のサービスとしての差別化、収益化が困難。外部との連携が重要な鍵」はこちら(10/26)
・「ヘルスケアサービスでマネタイズ゙ができている先駆的事業モデル~(株)FiNCや健康年齢少額短期保険(株)~ビジネスプランの基本的な考え方」はこちら(10/24)
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・「グレーゾーン解消制度の活用!ヘルスケアサービス事業成功に向けて」はこちら(10/19)
「ヘルスケアサービス事業成功に向けて 課題解決の考え方」はこちら(10/17)
介護事業は社会課題解決事業です。
保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。
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次のとおり税務などの記事を紹介しています。
月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
水曜日は「同族会社とその役員の手引き」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
土曜日は次のとおり会計の記事を紹介しています。
「“会計”に挫折した起業者の方を対象に、起業者の会計超理解ハンドブック」
日曜日は
「2018年3月申告用の手引き 住宅取得等資金の贈与税の非課税の誤りやすい事例」