「開業前のための基礎知識」~退職前後には社会保険(年金、健康保険)の変更の手続きが必要になります。
「開業の基礎知識」~初めて開業する方に、開業の方法や必要書類の準備を税理士からお伝えします。
開業に興味のある方、開業準備中の方、開業して間もない方は、ぜひ参考にしてください。
初めて開業する方にとって、開業の方法や必要書類の準備など、煩雑なことが多いのではないでしょうか?財務・税務の専門家として税理士の立場から、基本的な開業の基礎知識から会計や税務まで、月曜日は「開業の基礎知識」について、様々な内容を用意した記事にしていきます。
経営者や事業主となると、今まで会社員や主婦の経験では、知り得なかったことが多くあります。
この連載ブログの対象となる方は、例えば、いままでサラリーマンをされてきたが意思を固めて独立開業される方、家庭で子育てをされてこられて子どもさんの手が離れて開業準備をされている女性の方などを対象として、開業に必要な基本的なルールを紹介します。
「開業の基礎知識」は、次の項目を順番で紹介していく予定です。
1 開業前のための基礎知識(退職前後の手続き、開業前の必要な準備)
2 開業届などの必要な届出の基本ルール
3 開業資金の基礎知識
4 開業費用の基礎知識
5 個人事業主の税金の基本ルール(所得税、源泉所得税、消費税など)
① 事業開始と帳簿付け
② 効率的な会計処理とその考え方
③ 効果的な節税対策
6 個人事業主の社会保険の基本知識
7 確定申告などの基礎知識と基本ルール
では、「開業の基礎知識」をはじめます。
会社員であった方は給与所得者になりますので、まず退職前後には、社会保険(年金、健康保険)の変更の手続きが次のとおり必要になります。
1 開業前のための準備(退職前後の手続き)
① 厚生年金の脱退と国民年金への加入
会社等を退職すると厚生年金から自動的に脱退することになります。そして、20歳以上60歳未満の方は国民年金の被保険者となります(加入が義務づけられています)。
したがって、国民年金への加入手続きをする必要が生じてきます。手続きは住所地の市町村役場で行います。国民年金は全額、事業主(本人)の負担になります。
② 健康保険の脱退と国民健康保険へ加入
前の職場を脱退した場合、その健康保険を任意継続する方法があります。一方、任意継続しない場合は国民健康保険に加入する必要があります。手続きは住所地の市町村役場で行います。
万が一病気になった場合に、2割程度の負担で済みます。健康保険は、生活に必要な最低限の必要なセイフティーネットだと思います。必ず加入するようにしてくださいね。
また、国民健康保険は「世帯」が加入するという考え方をします。「扶養」という概念はありません。その世帯の全体の収入に対して保険料が決定されますので注意ください。
③ 労働保険(労災保険と雇用保険)の手続き
退職の際、労災保険は特別に手続きをすることはありません。
一方、雇用保険については、個人事業の開業に見通しがたっていない場合、一定の要件を満たしているときは、手続きをすることにより失業給付を受けることができます。
この場合、退職の際に会社から「雇用保険被保険者離職証明書」を交付してもらう必要があります。
開業の準備をしながら、失業給付を受けることができるか?の判断は、次のようにセンシティブな判断になります。ハローワークの担当者に照会して、慎重に対応するようにしてくださいね。
<参考>厚生労働省 雇用保険に関する業務取扱要領(平成29年10月1日以降)
50102(2) 受給資格の決定
(ニ) 内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者については、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。
ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うことが可能となるので留意すること。
ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事務所の設営等開業に向けた継続的性質を有するものを開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。
一方で、事業許可取得のための申請手続、事務所賃借のための契約手続等の諸手続(当該諸手続のための書類の作成等の事実行為を含む。)を行っているに過ぎないような場合は、その行為が求職活動の継続と両立しないようなものでないかどうかについて、個別具体的な事情を勘案して判断すること。
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月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・「開業の基礎知識~初めて開業する方に、開業の方法や必要書類の準備を税理士からお伝えします」はこちら(10/30)
水曜日は「同族会社とその役員の手引き」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
日曜日は
「2018年3月申告用の手引き 住宅取得等資金の贈与税の非課税」
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。