融資をする代わりに定期預金をください!という「両建預金」。銀行がしてはいけません。ルール違反になります ~ 中小企業の「決算書」の読み方[67]
「経理・会計」の記事です。
今回は
銀行から融資を受ける場合、定期預金の開設や定期預金の担保を勧められることがありますか?ルール違反です!
を紹介します。
金融庁の銀行への監督指針は次のとおりです。
たとえば
中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針 令和4年8月 (検査・監督基本方針)
Ⅱ-3-1-6-2 正常な取引慣行に反する不適切な取引の発生の防止
「過度な協力預金、過当な歩積両建預金等の受入れ、他金融機関への過度な預金紹介、銀行の業務範囲に含まれない商品等の紹介斡旋、顧客の印鑑等の預かり、関連会社等との取引の強要等独占禁止法上問題となる優越的な地位の濫用や顧客の実際の資金需要に基づかない決算期を跨った短期間の与信取引の依頼など正常な取引慣行に反する不適切な取引の発生をどのように防止しているか。」
過度な両建預金はやってはいけないルールとなっています。
すなわち
銀行から融資を受ける際に、融資をするかわりに定期預金をくださいという銀行からの依頼はルール違反になります。
事業の売上が伸びてない、業績が冴えないときは、了解しがちです。
しかし、この場合の銀行の行為は独占禁止法の優越的な地位の乱用にあたります。
たとえば
■ 借り入れ(融資を受けた金額):5,000万円(支払利息金利4%)
■ 担保となった定期預金:2,000万円(受取利息金利0.1%)
① 支払利息から受取利息を差し引いた金額(実質の費用)
5,000万円×4%-2,000万円×0.1%=198万円
② 実質金利の計算
198万円÷(5,000万円-2,000万円)=6.6%
名目上4%で借り入れていることになっていますが、実質的には6.6%で借り入れていることになります。
また、今後インボイスが導入されることにより、同じ趣旨のケースが想定されています
たとえば、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者と取引を行う事業者がその取引条件を見直す場合に、優越的地位の濫用として問題となるおそれがある行為があります。次のとおりです。
1 取引対価の引下げ
2 商品・役務の成果物の受領拒否、返品
3 協賛金などの負担の要請
4 購入・利用強制
5 取引の停止
6 登録事業者となるような慫慂(しょうよう)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
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