相続登記がされていない所有者不明土地に対応する不動産登記法の改正「相続人申告登記」。不動産登記法の改正~ 贈与や相続・譲渡など資産税[129]
資産税に関する記事です。
今回は
「相続登記の義務化」と「相続人申告登記の新設」(令和6年4月1日から)
を紹介します。
なかなか相続登記がされないので相続登記の申請の義務化が行われます
具体的には
1 不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けます。
2 正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料を支払うことになります。
次のような問題があるからです
■ 相続発生後は、遺産分割がなければ全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得(共有)した状態となります。
■ 共有状態をそのまま登記に反映する方法(法定相続分での相続登記)がありますが、法定相続人の範囲および法定相続分の割合の確定が必要です。被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍謄本等の書類の収集が必要になります。こうなると、登記申請に当たっての手続的な負担が大きくなります。
こうしたことを受けて
相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする登記を新設します
1 所有権の登記名義人について相続が開始した旨
2 自らがその相続人である旨
1と2を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなします。
つまり、登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務を履行したことになります。
申出を受けた登記官は、所要の審査をした上で、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記します。
こうすることにより、登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を容易に把握することが可能になります。
相続人のメリットは
■ 相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申し出ができます。他の相続人の分も含めた代理申出も可能です。
■ 法定相続人の範囲および法定相続分の割合の確定が不要です。
■ 申し出の際の添付書面は、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる、自身の戸籍謄本を提出するルールとなっています。つまり、資料収集の負担が軽減されます。
(出所;法務省民事局HP 令和3年不動産登記法改正)
<参考>
→ 「住所変更登記の申請義務化」相続登記がされない所有者不明土地について
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