「会計の区分」を行っていない場合、運営基準違反として指導対象になります。
土曜日は「介護事業者のための会計ハンドブック」として、経営に必要な会計を分かりやすく紹介しています。10回目です。
「会計」と言っていますが、要するに「お金の管理」です。
領収書を整理したり、伝票をつくったりすることは、会社にとって必要なことですが、経営者にとって大切なことは、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする(「起業の技術」浜口孝則:かんき出版)」ことです。
介護会計のルールを定めた通知は
「介護保険の給付対象事業における会計の区分について(平成13年3月28日付け老振発第18号)」です。
サービスに共通して支出した経費などの按分基準は、合理的な方法であれば問題はないとなっています。例示には、「延利用者割合」が数多く用いられています。
大阪府HP上には、事業種別ごとに「自主点検表」が紹介されています。
これに、介護事業者が事業を運営するにあたり、遵守しなければならない事項が記載されています。事業の運営状況の適否を自主的に点検するチェックリストになっています。
その中に「会計の区分」がチェック項目としてあがっています。
例えば、「訪問介護事業」の「自主点検表」(最終更新平成29年6月12日)では、次のとおりチェック項目「34」欄に「会計の区分」があります。
「34欄 会計の区分」
「事業所ごとに経理を区分するとともに、訪問介護事業(介護予防訪問介護事業)とその他の事業とに区分して会計処理しているか」
さらに自主点検表には、チェック項目となっている「会計の区分」の根拠規定が記載されています。その根拠規定を調べてみますと
① 根拠規定「介基準38」とは
「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第三十七号)」の「第38条(会計の区分)」をいいます。
② 根拠規定「予基準36」とは
「指定介護予防等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省令第35号)」の「第36条(会計の区分)」をいいます。
③ 根拠規定「老企第25号第3-1-3-(25)」とは
「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」の「(25)会計の区分」をいいます。
④ 根拠規定「府基準42」とは
「大阪府指定居宅サービス事業者の指定並びに指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例(平成24年11月1日大阪府条例第115号)」の「第42条(会計の区分)」をいいます。
なお、昔の資料ですが、大阪府の「営利法人が運営する介護サービス事業所に対する監査~自己点検シート作成にあたっての留意事項(FAQ)~」中の「Q13」に「会計の区分」について、次のように具体的な取扱いが示されています。
Q13
会計はどのように区分したらよいのですか?
A13
決算書を区分するということではなく、事業所と他の事業との会計について事務的経費を含めて按分等することにより明確にすることです。なお、年間の収支状況がわかればよいので、決算期に1年分を一括して処理していただいて結構です。月ごとに経費の按分等により別途帳簿を作成する必要もありません。なお、居宅サービスと介護予防サービスも区分が必要です。
介護会計において、最も重要で基本的なルールが「会計の区分」なんですね。「会計の区分」により、サービスごとにその収支がどのようになっているかという現状把握が可能となりますし、将来のサービス内容の検討にあたって基礎的な情報数値としても活用されます。
「会計の区分」の検討にあたっては、専門家に相談されることをおすすめします。
介護会計に関するご質問・ご相談については、窓口から電話やメールでお気軽にご相談ください(初回無料です)。
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「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
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介護事業は社会課題解決事業です。
保険料と税で運営されている社会保険制度としての制度ビジネスです。3年ごとに改定される制度変更には、しっかりと対応することをおすすめします。
制度変更により、大きく収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定や計数を予測して、事業経営に活用することが大切だと思います。
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