freee会計。電子保存を始める際に必要な準備のうち、社内ルールの整備(スキャナ保存制度) ~ 電子帳簿保存法改正[33]
今回は
電子保存を開始するためには、電子保存の4類型ごとに社内のルール整備などの準備をすることが法令上求められています
を紹介します。
freeeを利用し電子保存をする場合に必要な準備が下表にあります。
今回は
上の表の「C. スキャナ保存制度 」のうち、準備する「①操作説明書」、「②事務手続を明らかにした書類」、「③各事務の処理に関する規程」とはどんなものか?
をご紹介します。
つまり、市販システムやクラウドサービスを利用する場合、電子帳簿保存については次の3つが必要になります(規則第2条第6項 第1号ロ・第7号、第7項)
- ① 電子計算機処理システムの操作説明書
- ② 電磁的記録の作成および保存に関する事務手続きを明らかにした書類
- ③ 国税関係書類の作成または受領から入力までの各事務の処理に関する規程
①の操作説明書」はfreeeを利用する場合は、ヘルプセンター が該当します
<参考> 電子帳簿保存法一問一答
【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】問8
「規則第2条第2項第1号のシステム関係書類等については、書面以外の方法により備え付けることもできることとしています(取扱通達4-6本文なお書)ので、いわゆるオンラインマニュアルやオンラインヘルプ機能に操作説明書と同等の内容が組み込まれている場合には、それが整然とした形式及び明瞭な状態で画面及び書面に、速やかに出力することができるものであれば、操作説明書が備え付けられているものとして取り扱って差し支えありません。」
次に「②事務手続を明らかにした書類」と「③各事務の処理に関する規程」とは
freeeでは共通して利用できる社内ルールのテンプレートを、次のように用意してくれています。
「②事務手続を明らかにした書類」のテンプレートです
[ ]の箇所を自社に対応してアレンジします。
全体について
(目的)
1.この規程は、freee会計を活用して、電子帳簿保存法が求める事務手続及び各事務処理に関する事項を定め、適正に電子保存することを目的とする。
(運用体制)
2.freee会計を活用した電子保存の運用に当たっては、管理責任者を置くものとし、管理責任者は、取引書類の受領者及び電子化作業担当者を管理し、法令等の定めに則って電子保存が行われることに責任をもつ。なお、管理責任者は、必要に応じて、電子化・保存作業を外部委託できるものとし、その場合、外部委託業者が必要な法令等の知識と技能を持つことを確認する。
· [管理責任者 freee会計の管理者権限をもつ者とする]
(保存期間)
3.freee会計に保存する [帳簿・決算書類・電子化したファイル・電子取引等] のデータは、国税に関する法律の規定により保存しなければならないとされている期間まで保存する。
(電子保存を開始する日)
4.この規程は、 [2022年1月1日] から施行する。施行時点でリリースされていないfreee会計の電子帳簿保存法に係る一部の機能については、リリースされ次第利用を開始するものとし、この規程に定める保存までの期間に処理するものとする。
次がfreeeが用意している「 C. スキャナ保存制度」の事務処理規程のテンプレート部分です
[ ]の箇所を自社に対応してアレンジします。
C. スキャナ保存について
(対象書類・保存までの時期)
- 取引先から受領した書類のうち、スキャナ保存を行う書類は次に掲げる書類とし、受領からfreee会計に保存するまで期間は次に定めるとおりとする。
- [請求書 最長2か月]
- [領収書 最長2か月]
- [契約書 最長2か月]
- [納品書 最長2か月]
- [見積書 適時]
- [注文書 適時]
(保存の手順)
- 2 真実性を確保するため、前項に定める取引書類の受領者または電子化作業担当者がスキャニングまたは撮影を行い、電子化したファイルを前項に定める「保存までの時期」に従いfreee会計のファイルボックスにアップロード(以下「保存」という。)を行う。freee会計に保存した後は、freee会計の電子帳簿保存機能を利用し、訂正削除履歴を記録する。
- 3 受領者または電子化作業担当者は、スキャニングまたは撮影の際、電子化したファイルが紙と同等の真実性及び可視性を確保できていることを確認する。当該電子化したファイルをfreee会計に保存できたことを確認した後に紙原本を廃棄できるものとする。確認に当たっては、特に次の事項に留意する。帳票ごとに1つの電子化したファイルとし、裏面がある場合は裏面もスキャニングまたは撮影する。
- 4 電子化したファイルのうち、見積書・注文書等の一般書類以外の書類については、freee会計に次に定める事項を記録する。
- ■解像度(画像の解像度が不明な場合は画素数とする。)
- ■階調
- ■紙原本の書類サイズ(A4を超えるサイズの場合に限る。)
- 5 業務処理上やむを得ない事情で前項に定める「保存までの時期」(最長2か月)を超過したものは、管理責任者の管理の下、備考欄にその理由を記載した上でfreee会計に保存するとともに、紙原本を併せて保存する。
- 6 一度freee会計に保存した電子化したファイルに差し替えまたは記録事項に修正等が必要となった場合には、管理責任者の管理の下、当初保存した電子化ファイルを第一版とし、差し替え後または記録事項修正後の電子化ファイルを第二版として、差し替えまたは記録事項の修正等が必要となった理由を記録した上で保存する。なお、原本である紙の取引書類自体に変更があった場合には、紙原本が二つあることから、両方のファイルを第一版として保存する。
(見読性の確保)
- 7 見読性を確保するため、原則として電子化したファイルの保存時に次の情報(検索項目)を付加し、保存時に記録できない場合には、決算終了後遅滞なく記録するものとする。
- ■取引日付
- ■取引金額
- ■取引先名称
- 8 freee会計の仕訳帳の検索機能及びファイルボックスの検索機能のいずれかまたは双方を用い、検索性及び帳簿との関連性を確保するものとする。
(電子化に利用するデバイス)
- 9 スキャニングまたは撮影に用いるデバイスは、次の要件を満たせるものを利用する。
- ■解像度200dpi(画素数の場合、縦2,338画素、横1,654画素)以上で鮮明に電子化ができる。
- ■カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ 256階調(約 1677 万色)以上、24ビット/ピクセル)ができる
- ■解像度200dpi(画素数の場合、縦2,338画素、横1,654画素)以上で鮮明に電子化ができる。
- 10 電子化したファイルを画面や書面に速やかに出力ができるよう、IS0X6933又はISO12653-3テストチャートの4ポイント文字が認識でき、電子化したファイルを拡大縮小表示ができる14インチ以上のカラーディスプレイやカラープリンターを利用する。
(出所:freeeヘルプセンターマニュアル)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
向暑の1日を元気にお過ごしください。
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